医療裁判紹介バックナンバー

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医療裁判:心筋梗塞の除外診断

2015年04月01日
患者(男性,事故当時45歳)は,手足のしびれを感じ,救急車を要請した。搬送先病院において過換気症候群との診断を受け経過観察することになったが,その後,状態が急変し,看護師が駆けつけた際には既に心肺停止状態に陥っており,蘇生措置を行ったにもかかわらず死亡した…(名古屋地方裁判所平成25年3月15日判決)

医療裁判:障害児出生の可能性に関する医師の説明義務

2015年03月02日
遺伝性の神経系疾患(ペリツェウス・メルツバッハル病。以下「PM病」という)に罹患している子(長男)を持つ夫婦が,長男の診療にあたっている医師に対して「次の子供を作りたいが,大丈夫でしょうか」と質問したところ,医師から「私の経験上,この症状のお子さんの兄弟で同一の症状のあるケースはありません。かなり高い確率で大丈夫です」との説明を受け,その後,次男に続けて三男を出産したが,三男はPM病に罹患していた…(東京高等裁判所平成17年1月27日判決)

医療裁判:添付文書の記載と薬剤使用に関する注意義務

2015年03月01日
顔面神経減圧術を受けた患者(本件当時47歳女性)が硬膜外血腫を生じた後,小脳梗塞を発症し術後15日目に死亡した。患者遺族は,手術を行った病院の運営主体である医療法人に対し,硬膜外血腫の際に頭蓋内圧を下げるための高張減圧剤を使用しなかった等と主張して,損害賠償を求める訴訟を提起した。医療法人は,当該薬剤の添付文書上,硬膜外血腫が疑われる場合の使用は「禁忌」とされている等と反論したが,裁判所はこの主張を排斥し,医療法人の損害賠償責任を認めた(大阪地方裁判所平成16年2月12日判決)

医療裁判:診察時の医師の患者に対する言動について違法性が問われた事案

2015年02月02日
過去にストーカー等の被害に遭って抑鬱神経症と診断されていた患者(女性,本件当時41歳)が,頭痛を主訴に精神神経科を受診した後,脳神経外科でMRI検査を受けた。後日,患者は診療受付終了時刻の前に,精神神経科に「受付時間を少し遅れるが診察してほしい」と電話をし,担当医師は検査結果を伝えるだけという条件で,面接を了承した。医師は患者に対し,MRI検査の結果は異状がないこと,頭痛のコントロールが当面のテーマであること,そして今後は脳神経外科を受診するように指示し面接を終了しようとしたが,患者はこれに応じず,自らの病状の訴えや質問を繰り返したため,医師は「患者の病名は人格障害である」等の発言をした後,診察室から退出した…(最高裁判所平成23年4月26日判決)

医療裁判:脳神経外科医の糖尿病患者に対する血糖値測定義務

2015年02月01日
糖尿病でインスリン投与による血糖管理を行っていた患者(当時63歳,男性)が,低血糖で緊急搬送された。搬送先の病院において,担当した脳神経外科の医師はブドウ糖を静脈注射した後,血糖コントロールを食事制限とした上で,血糖値測定は4日後,インスリン投与は不要との判断をした。その後,患者は糖尿病ケトアシドーシス(DKA)を発症し,死亡したという事案である…(さいたま地方裁判所平成25年12月26日判決)

医療裁判:根管治療における緊密な充填の程度

2015年01月02日
歯科医院で補綴矯正治療の際,左上1番から3番,右上1番から3番の根管治療を受けた患者(女性,当時25歳)が,治療後,根尖性歯周炎に罹患したとして,担当歯科医師には,根管治療について,1.根尖部まで緊密に根管充填するべき注意義務違反がある,2.抜髄に際し説明義務違反がある等と主張して,損害賠償を請求した事案である…(東京地方裁判所平成23年2月14日判決)

医療裁判:違法薬物中毒が疑われる患者からの採尿行為

2015年01月01日
患者(男性)自らが「暴力団に殺される」などと訴えて,110番通報し,自宅前でナイフを振り回しているところを警察官に保護された。患者は警察官に同行され,病院を受診。診察した医師は中毒性精神病の疑いと診断し,患者を医療保護入院させた。その後,患者の尿から覚せい剤の陽性反応が出たため,患者は覚せい剤取締法違反により逮捕された…(横浜地方裁判所平成24年6月28日判決)

医療裁判:医師が誤った診断をして他科へと引き継いだことに対して,注意義務違反が認められた事例

2014年12月02日
左肩甲骨下の痛みと発熱を訴えて受診した患者(男性,本件当時52歳)に対して,はじめに診察した整形外科医が化膿性脊椎炎について否定的診断をくだし,内科へと引き継いだところ,内科医は肺炎と診断し帰宅させた。その後,患者は細菌性の胸椎硬膜外膿瘍を発症し,両下肢麻痺の後遺症が残存した…(東京地方裁判所平成25年1月24日判決)

医療裁判:医師の説得行為と添付文書の解釈について,ともに医療機関側の主張が認められた事例

2014年12月01日
子宮体癌で子宮全摘手術を受けた患者(女性,死亡当時62歳)が,術後の抗癌剤治療(TC療法)を一度は受けないと医師に伝えたが,医師の説得により受けることとなった。治療が開始されると第1クール後に発疹が生じたが,医師はパクリタキセルの再投与は問題無いと判断し,第2クールを実施。その直後,ショック症状を起こして患者は死亡した…(大阪地方裁判所平成25年2月27日判決)

医療裁判:治療を受けるよう説得する行為

2014年11月02日
患者(男性,事故当時44歳)は,ベル麻痺と診断され,ステナート法による治療を受けたが,改善が見込めない状態となり,顔面神経減荷術による治療が検討された。しかし,手術を行うことを告げた医師に対し,患者は,あまり手術したくない,手術しても症状改善が遅いのなら手術せず退院したいと回答。手術に同意をしない患者に対し,医師は手術の危険性について十分に説明しないまま,しきりに手術を勧めた。その後,患者は手術に同意をし,顔面神経減荷術による治療を受けたところ,キヌタ骨に損傷が生じ,耳鳴り・聴力低下の合併症が生じるに至った…(千葉地方裁判所平成25年2月15日判決)
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