医療裁判紹介バックナンバー
医療裁判:気管切開の判断に遅延があったとされた一事例
2014年07月02日
患者(当時76歳,女性)が,顔面神経麻痺に対する星状神経節ブロックを受けた後,遅発性の頸部・縦隔血腫による気道狭窄が生じた。これに対し, 担当医師らが気道確保のために経鼻挿管,その後,3回にわたって経口挿管を試みたが,患者の体動・反射により奏効せず,最終的に気管切開を実施し た。気管切開は成功したものの,結果的に患者に低酸素脳症による重篤な後遺症が残った…(東京地方裁判所平成24年1月26日判決)
医療裁判:薬事法の製造販売承認を得ていない医療機器の使用
2014年07月01日
患者(30歳代,男性)が,近視矯正目的のためクリニックを受診してレーシック手術を受けたところ,術前の左眼が裸眼視力0.1,矯正視力1.2であったものが,2度のレーシック手術を経て裸眼視力0.01,矯正視力0.1(眼鏡による矯正),0.3(ハードコンタクトレンズによる矯正) に低下したと訴えた。本件は,患者がクリニックを経営する医療法人とレーシック手術を施行した医師に対して,薬事法14条による製造販売の承認を得ていない医療機器は安全性が確認されておらず,そのような医療機器を使用したために視力が低下したなどと主張し…(東京地方裁判所平成20年1月30日判決)
医療裁判:重症肺炎を発症した患者に対するST合剤投与時期の是非
2014年06月02日
IgA腎症に対するステロイド療法を受ける目的で入院していた患者(女性・当時51歳)が,入院中に重症肺炎に罹患した。当初,担当医師は各種検査の結果から細菌性肺炎の可能性を最も疑い,ホスホマイシンナトリウム等の抗生剤を投与していた。その8日後,DNA検査でカリニ陽性であったことから,ST合剤の投与を開始したが,症状は改善せずに患者は死亡した…(東京地方裁判所平成20年3月27日判決)
医療裁判:MD双胎における緊急帝王切開の判断
2014年06月01日
MD双胎と診断された母親(年齢不明)が大学病院産婦人科において予定帝王切開により分娩したところ,第2児(性別不明)は問題なく生まれたものの,第1児(性別不明)が重度の脳障害を負って生まれた。第1児の出生に先立ち,手術予定日の4日前と手術当日にPreload Index(PLI)の異常値,手術当日,ノンストレステスト(NST)における継続的な頻脈と基線細変動の減少,胎児振動音刺激試験(VAST)に対する無反応等の異常所見が認められていた…(仙台地方裁判所平成24年7月19日判決)
医療裁判:新生児管理体制について
2014年05月02日
母親(22歳)は,自然分娩により新生児を出産した。母親が出産した病院では,院内で出生した新生児は基本的には出産直後から母子同室とされ,母親が授乳等,新生児の管理を行い,助産師が介助,状況に応じて新生児を預かる形を取っていたが,出産当日夜,新生児は個室内で母親から授乳されていた直後に母親の下敷きになり自発呼吸がない状態で発見された…(仙台地方裁判所平成24年9月13日判決)
医療裁判:注射による菌感染
2014年05月01日
患者(女性,25歳)は,クリニックを受診し,美容目的で脂肪溶解剤を皮膚または皮下脂肪層に注射するメソセラピーを受けた。治療後,注射部位に数十箇所におよぶ多数の発赤,潰瘍形成等が生じ,原因を探索したところ,非結核性抗酸菌感染症と診断された。本件は,かかる非結核性抗酸菌感染症は,診療用器具の消毒が不完全であった,または,注射液が汚染されていたにもかかわらず,確認を行わず注射を行った過失により発生したものであるとして,クリニックの開設医が患者より損害賠償を求められた事案である。(東京地方裁判所平成24年10月31日判決)
医療裁判:手掌多汗症に対する胸部交感神経遮断術と説明義務の内容
2014年04月02日
手掌多汗症に対する胸腔鏡下胸部交感神経遮断術(Endoscopic Thoracic Sympathectomy;ETS)を受けた患者(男性,手術当時30歳)が,術後,ETSに起因して代償性発汗が生じた。本件は,患者が,担当医には,1)ETSの手術適応がなかったのにETSを行った適応義務違反があった,2)説明義務違反があったなどと主張して,病院に対して損害賠償を求め,請求の一部が認められた事案である。(東京地方裁判所平成23年11月24日判決)
医療裁判:専門科目外の診断義務と法的責任
2014年04月01日
患者(女性,70歳)が,居酒屋での支払いの際に小銭をぼろぼろとこぼし,その様子を見た店員が,脳梗塞を疑い119番通報を行った。救急搬送先 の消化器外科専門の当直医は,患者の状態が意識清明で痙攣や麻痺も無かったことに加え,一過性脳虚血発作(TIA)は意識障害を伴うと誤認していたため,TIAではないと判断し,翌日検査を受けるよう伝えて患者を帰宅させた。翌日,患者を診察した内科専門の担当医師は,MRI等の各種検査の結果から,陳旧性脳梗塞,多発性脳虚血と診断,特別な治療はせずに患者を帰宅さ せた。なお,この医師は,前日診察した当直医を他の同姓の循環器専門医と誤解し…(福岡地方裁判所平成24年3月27日判決)
医療裁判:未破裂脳動脈瘤に対するクリッピング術の適応と術前説明の関係
2014年03月02日
患者(女性,59歳)は,頭痛を主訴に病院で検査を受けた結果,大脳右側に直径10mmの無症候性未破裂脳動脈瘤と,大脳左側に直径2〜3mmの未破裂脳動脈瘤が認められ,両側中大脳動脈瘤と診断された。患者は手術を受けるべきか悩むも,医師の説明を受けた後,両側の脳動脈瘤に対する一期的動脈瘤頸部クリッピング術を受けた。しかし,手術後,患者は左側前頭葉および左側被殻の脳梗塞,ならびに右側穿通枝の脳梗塞を発症し,四肢筋力低下,軽度の右麻痺,軽度の認知症,パーキンソン症候群の後遺症が残存した…(岐阜地方裁判所平成21年11月4日判決)
医療裁判:静脈注射による神経損傷
2014年03月01日
患者(女性,事故当時27歳)は,メニエール病と診断され,炭酸水素ナトリウムとメコバラミンの静脈注射を受けた。その後,患者は左肘に違和感を覚え,他の病院を受診したところ,左正中神経障害,カウザルギーと診断された。本件は,静脈注射により正中神経が損傷し,または炭酸水素ナトリウムが静脈外に漏出したため,左正中神経障害,カウザルギー等の後遺障害が生じたとして,患者が病院に対し,損害賠償請求した事案である。審理の結果,請求は棄却された。(岡山地方裁判所平成23年6月14日判決)


