医療裁判紹介バックナンバー

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医療裁判:消化管穿孔と手技上の不注意の有無

2016年02月02日
早期胃癌の発見された男性患者(当時70歳)が,病院で胃癌摘出のための切除手術(幽門側胃切除術およびRoux-Y吻合術)を受けたが,その翌々日,十二指腸断端部付近に穿孔があること,および穿孔から漏出した消化液により前縦隔炎を発症していることが判明し,約2週間後に多臓器不全のため死亡した……(岡山地方裁判所平成23年7月12日判決)

医療裁判:勤務看護師がHIV感染症に罹患した場合における情報共有の適否

2016年02月01日
病院に勤務する看護師(女性,年齢不明)が,勤務先の医師に紹介された病院で受けた血液検査によりHIV感染症と診断された。血液検査を行った医師から,看護師がHIV感染症に罹患しているとの情報を得た勤務先病院の医師および職員が,看護師の同意なく他の職員に伝達して情報を共有し,また,HIV感染症に罹患していることを理由に勤務を休むよう指示し,その後,看護師は勤務に復帰することなく病院を退職した……(福岡地方裁判所久留米支部平成26年8月8日判決)

医療裁判:超高齢者(100歳)に対するステント留置術と説明義務

2016年01月02日
患者(男性,100歳)が病院で食道の狭窄を伴う食道癌による食事の通過障害の改善のため食道ステント術をうけたところ,ステント留置後,ステント留置部付近の食道壁からの出血により血圧が低下して死亡した……(大阪地方裁判所平成26年2月3日判決)

医療裁判:入院患者の転落防止義務

2016年01月01日
血液透析を必要とする慢性腎不全,糖尿病等に罹患していた患者(男・事故当時81歳)が,右大腿切断手術の目的で入院した。患者のベッドは,枕側から上半身に相応する部分にかけて両脇にベッド柵(高さ27cm)が設けられており,枕側のベッドボードの直ぐ脇の壁にはナースコールが設置されていたが,患者は夜間にベッドから転落。対応した看護師が全身観察するも変形や外傷もなく,バイタルサインにも異常が無かったことから,経過観察としたが,その後,硬膜下血腫等により死亡に至った……(岡山地方裁判所平成26年1月28日判決)

医療裁判:治療目的について虚偽の説明をしたことを一因とし慰謝料が認められた1例

2015年12月02日
歯科医院において右上6番のインレー装着等の治療を受けた患者(性別,年齢不明)が,治療上の不満を理由に歯科医師に対し損害賠償を求め,代理人をたてて交渉を開始した。その交渉の経緯において,歯科医師は,実際は隣接歯との接触回復を目的としてインレーを装着したという認識であったにもかかわらず,本件当時右上6番にう蝕があり,それが右上6番にインレーを装着した理由の一つであったと虚偽の説明を行ったため,患者は,そもそも右上6番のインレー装着は無根拠治療だったのではないかと疑った……(東京地方裁判所平成26年3月26日判決)

医療裁判:カルテに記載された内容が信用できないと判断された事例

2015年12月01日
本件は,産婦人科クリニックにおいて出生し,生後も同クリニックで診療を受けていた女児が,生後約1ヵ月に大動脈弁狭窄症による急性左心不全で死亡したことを受けて,女児の両親が,クリニックにおける大動脈弁狭窄症の見落しの医療過誤を主張して,訴えを提起した事案である……(東京地方裁判所平成24年9月6日判決)

医療裁判:外泊許可を撤回しなかったことの過失

2015年11月02日
患者(女性,昭和21年生まれ)は卵巣癌の胸膜転移による胸水の貯留等により胸部痛・呼吸困難を訴え,入院。穿刺による胸水,腹水の排液等の治療を受けていた。癌の進行に伴い,患者は癌の治療と緩和ケアの両方ができる病院へ転院することを考え,転院候補の病院への受診を目的に担当医へ外泊許可の申し出を行い,申し出を受けた担当医は外泊の許可をした。その後,外泊前日に患者は腹部膨満の悪化と呼吸困難を訴えたが,担当医は外泊許可の撤回はせず,酸素投与を行い,外泊に備えオキシコドン塩酸塩等の各種薬剤を交付,何か異変があったら病院に連絡するようにと患者に伝え,患者は予定通り外泊した。しかし,患者は外泊をしていた間に,呼吸困難に陥り,死亡するに至った……(東京地方裁判所平成25年12月26日判決)

医療裁判:社会保障給付について説明する義務

2015年11月01日
患者(女性,昭和9年生)は,心臓機能障害を有するために身体障害者福祉法に基づく身体障害認定で3級と認定されていたが,それとは別に障害等級3級以上に相当する網膜色素変性症による視覚障害が生じた。しかし,患者は,通院中に主治医や病院から,網膜色素変性症が身体障害認定要件を満たす程度に進行しているとの説明を受けたり,社会福祉の窓口を紹介されたりすることがなかったため,10年間,心臓機能障害と視覚障害とを併せ評価した障害等級2級の障害者に対する愛知県在宅重度障害者手当を受けることができなかった……(名古屋地方裁判所平成24年11月29日判決)

医療裁判:腰椎後側方固定術時の腹部大動脈損傷に医師の過失が認められた事例

2015年10月02日
腰椎の圧迫骨折等の治療のため,腰椎後側方固定術を受けた患者(当時75歳,女性)が,その手術中から多量出血を起こし,手術後,他院へ緊急搬送されたものの,転院先で多臓器不全によって死亡した。司法解剖の結果,患者には腹部大動脈の損傷等が認められた……(さいたま地方裁判所平成25年7月25日判決)

医療裁判:問診の際に転倒事故の経過や態様等を具体的に質問しなかった医師の責任

2015年10月01日
自宅の外階段で転倒した男性(当時74歳)が,救急車で病院へ搬送された。担当した医師は,患者に対し,「頭や首などを打ってはいないか」と複数回にわたり質問したが,患者は明確に否定し,診察とCT等の検査の結果,左大腿骨頚部骨折および骨盤骨折の疑いと診断され入院となった。しかし,その数時間後に意識レベルが低下し声かけにも反応しなくなったため,頭部の検査を行ったところ,頭蓋骨骨折,硬膜下血腫,および脳室内出血が確認され,その後,急性硬膜下血腫により死亡した……(東京地方裁判所平成18年7月13日判決)
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