医療裁判紹介バックナンバー

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医療裁判:異物遺残の場合における慰謝料(2)

2017年05月01日
本件は,乳癌の転移による末期癌の状態で呼吸困難となり緊急搬送された直後に癌性心膜炎による心タンポナーデによる心肺停止状態となった患者(女性:死亡時53歳)に対して,担当医師が心膜穿刺術を施行した際に,誤って針(内針)を心膜腔に留置したため,留置された針が心臓を穿孔したことによる出血により外傷性心タンポナーデを発症して患者が死亡した事案である……(仙台地方裁判所平成26年12月18日判決)

医療裁判:栄養管理に関する注意義務

2017年04月01日
患者(女性,当時95歳)は,食事の経口摂取が困難となったことから病院に緊急入院し,精査とともに栄養管理が行われた。入院中に栄養状態は改善せず,精査の結果も認知症が原因であろうとの診断で,自宅での療養を勧められ,退院。しかし,退院4日後,患者は救急搬送され,誤嚥性肺炎により死亡した……(山形地方裁判所平成26年2月25日判決)

医療裁判:歯科治療中に急変した患者の全身管理を早期に歯科麻酔医に委ねるべきであったとされた1例

2017年03月01日
歯根嚢胞の処置のため大学病院において抜歯および嚢胞開窓術を受けた患者(本件当時25歳男性)が治療中に急変し,同病院内の救命救急センターに搬送されたものの死亡した。これを受けて,その相続人である両親が,麻酔使用の不適切性や急変時の対応の不備などを主張し,担当医や同病院を運営する法人に対し損害賠償を求め訴訟を提起した……(福岡地方裁判所平成25年9月17日判決)

医療裁判:医療機関における暴力行為の対策

2017年02月01日
病棟に勤務していた看護師が,業務中に入院患者からの暴力により傷害を受けて休職し,復職後にも,入院患者の食事介助中に同患者から暴力を振るわれ,休職するに至った。その後,病院から休職期間満了による解雇通告を受けたため……(東京地方裁判所平成25年2月19日判決)

医療裁判:確定診断前における癌の可能性の告知方法

2017年01月01日
看護師であり内視鏡室に勤務したことのある患者(当時48歳,女性)が腹痛を主訴として医師の診察を受けた。担当医は触診および腹部CT検査を行った結果、大腸癌を疑い、「見た感じでは良性ではなく大腸癌だと思います」等の説明をした上で、後日、大腸内視鏡検査を行ったものの、異常所見が認められず、患者が大腸癌でないことが判明した……(札幌地方裁判所平成26年11月12日判決)

医療裁判:院内会議の議事録と裁判所の事実認定

2016年12月01日
患者(女性,手術時22歳)は左頸部のリンパ節腫大に対するリンパ節生検を受けたが,手術の後,左腕が上がらない等,副神経麻痺の症状が生じた。このため患者は,他院で神経縫合術を受け,リハビリを行うものの,可動域の制限等の後遺症が残ることになった……(前橋地方裁判所平成26年12月26日判決)

医療裁判:術後カテーテル感染症の疑いがある症例に対する注意義務と死亡との因果関係

2016年11月01日
食道癌手術を受けた患者(昭和25年生,当時56歳,男性)が,術後の入院中に感染症に罹患し,敗血症を発症して死亡した。これを受けて,患者遺族が早期にカテーテル感染症を疑い,起因菌を特定する検査を実施するべきであったなどとして訴訟を提起した……(札幌地方裁判所平成27年3月25日判決)

医療裁判:看護師の守秘義務違反と病院の責任

2016年10月01日
ユーイング肉腫に罹患し病院に入通院していた女性患者(当時19歳)の病状や余命等を,同病院の看護師が自分の夫に話し,その夫が病院外で患者の母親に告知した。これを受けて,患者の母親が,秘密が漏洩されたことを知り精神的苦痛を受けたとして,病院に対し,慰謝料300万円を含めた計330万円の損害賠償を請求した事案である……(福岡高等裁判所平成24年7月12日判決)

医療裁判:患者を他の医療機関へ転医させる際の搬送方法の適否

2016年09月01日
アルコール依存症を合併した境界性人格障害の患者(女性,31歳)の主治医が,患者を他県にある医療機関に搬送するに際して,窒息の危険性のある搬送方法を採ったにもかかわらず,搬送経験や医学的知見に乏しい看護学生および事務員に搬送を委ね,自らは搬送に同行しなかった結果,搬送途中で患者が窒息死した……(東京地方裁判所平成16年10月27日判決)

医療裁判:転送先を適切に選定すべき義務

2016年08月01日
当時約2歳1ヵ月であった患者(男児)が,腹痛を訴え,病院を受診した。診察した医師は,患者は急性呼吸循環不全で初期集中治療による救急救命措置が必要であると判断したが,病院では担当した医師しか小児科医がいないため集中治療ができず,さらに医師は気管内挿管の処置が行えなかったため,他院へ転送することとなった。その際,転送先候補として,救急車で10分程度の呼吸循環回復の処置ができる第2次小児救急病院と,救急車で30分強の外科的処置もできる第3次救急病院があったが,喫緊で必要な処置はすべてできる,より近い第2次小児救急病院へ転送することになった……(さいたま地方裁判所平成26年5月29日判決)
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