医療裁判紹介バックナンバー
医療裁判:前医が後医に対して負う義務とは
2013年09月02日
地元の病院で排卵誘発治療法(hMG-hCG療法)による不妊治療を受けていた女性が,卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と診断され入退院したが,第1子を無事出産した。第2子を希望した女性は,再び同じ病院でhMG-hCG療法を再開。女性が担当医の指示に従わずに実家へ帰省した後,帰省先の病院でOHSSの診断を受けて入院することとなった。その後,第2子の妊娠が明らかになったが,OHSSが増悪したため人工中絶手術を受け,その2日後に突然チアノーゼと呼吸困難が発生し死亡した…。(横浜地方裁判所平成16年12月27日判決)
医療裁判:患者の診療拒否と医師の責任
2013年09月01日
酩酊して交通事故を起こした男性が,病院に救急搬送された。男性は,医師らの説明,説得にもかかわらず検査の続行を拒否して警察の事情聴取へと向かったが,警察署でスポーツ飲料を飲んだ途端に倒れて,再度救急搬送されたものの死亡した。本件は,患者の妻子が,医師には診療を続行すべき義務の違反があるなどとして損害賠償を求めたものの,審理の結果,請求が棄却された事案である。(札幌地方裁判所平成13年4月19日判決)
医療裁判:医学的根拠のない患者の不安感を解消させる説明をしていないなどとして麻酔科医に説明義務違反を認めた事例
2013年08月02日
子宮腺筋症,子宮頸管ポリープと診断された女性(45歳)が腹式子宮全摘出術を受けた。手術前,女性は過去の筋弛緩剤や鎮痛剤による副作用の経験から,手術の際に使用する麻酔薬に対して不安を持っていたため,麻酔科医の説明を求めたが,女性の不安は医学的根拠がないということもあり,麻酔科医から十分な説明がされることはなかった。本件は,手術後,女性の足に疼痛,痺れ等の症状が生じたため,麻酔科医に対して,不安を解消させる説明が果たされていないと損害賠償請求された事例である。(東京地方裁判所平成20年5月9日判決)
医療裁判:添付文書上原則禁忌とされている造影剤の投与
2013年08月01日
喘息の既往のある女性(36歳)が頭痛,左肩の痺れ,左背部の張り等を訴えて病院の循環器科を受診した。問診した医師は主訴等から大動脈炎症候群 を疑い,副作用発現の際の対策を講じた上で,「喘息のある患者」が添付文書上原則禁忌とされている造影剤を用いて造影CT検査を実施。この造影 CT検査実施の際,喘息発作が発現したことについて,女性が病院,担当医師に対して,喘息の既往がある患者に造影CT検査を行った過失,ならびに 副作用の危険性と検査の必要性の説明を怠った過失があるとして100万円の慰謝料請求をした事例である(東京地方裁判所平成19年7月20日判決)
医療裁判:介護老人保健施設での高齢者転倒
2013年07月02日
医師会が運営する介護老人施設にパーキンソン病,神経症,抑うつ状態,眩暈症等の診断を受けた女性(当時79歳)が入所した。女性は入所時,見守りが必要であるも,杖を使えば少しよろけながらも一人で歩ける状態であった。しかしその後,転倒を繰り返し,幻覚等の症状が出てきたことから,施設側は女性を認知症専門棟へ移動させ,夜間に見守りをしやすいよう見通しの良い場所にベッドの位置をずらす等の対策を取った。しかし,夜勤の介護福祉士が気づかないうちに女性は転倒し,左大腿骨転子部を骨折した…(東京地方裁判所平成24年3月28日判決)
医療裁判:精神科における薬剤処方管理
2013年07月01日
患者(女性,当時29歳)は無気力,気分の落ち込み,不眠等を訴え,クリニックを受診した。対応した医師は患者の症状を軽度のうつ病と診断し,エチセダン,リタリン,アサシオンを処方。その後,患者は定期的にクリニックを受診し,各回,薬剤の処方を受けていた。しかし,ほどなくして担当医師は患者の母親から,患者の身勝手な行動,リタリンの薬物依存的な服薬状況を理由に薬剤の処方の中止を求められた…(横浜地方裁判所平成23年9月28日判決)
医療裁判:結石除去と手技上の過失の認定
2013年06月02日
患者(女性,手術当時47歳)が上腹部痛,背部痛等により受診し,閉塞性黄疸,総胆管結石の疑いで入院となった。内科の担当医はERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)によって総胆管結石を確認した後,EPBD(内視鏡的乳頭バルーン拡張術)を施行して除去を試みたが,除去することはできなかった。その翌日の未明から患者に膵炎が発現,血液検査の結果,ERCPに伴った膵炎と診断され…(那覇地方裁判所平成23年6月21日判決)
医療裁判:添付文書に従わない医薬品の使用を行う合理的理由について
2013年06月01日
靴擦れにより右足第5指に水ぶくれができ,その後,化膿した女児(当時5歳11ヵ月)が病院に行き,医師の診察を受けた。医師は女児に対し,添付文書上,小児に対し投薬が禁忌とされる抗菌剤フルマークを投与したところ,副作用により発疹,紅斑の発生,消褪が繰り返されるようになった…(福岡地方裁判所平成17年1月14日判決)
医療裁判:光線療法の適応基準に関する医師の裁量
2013年05月02日
胎児仮死のため帝王切開で出生した患児(出生時は1824gの未熟児)が大学病院のNICUへ搬送された。出生から約7時間後に皮膚色に黄色が入るようになり,約14時間後に総ビリルビン値が9.4mg/dl,約16時間後には9.2mg/dlとなるも,担当医師達は「村田の基準」を満たしていない,数値の低下が見られる等を理由に光線療法を行わなかった。その後,患児に痙攣等の症状が発現し,総ビリルビン値が12.0mg/dlになった段階で光線療法を開始したが,後日,アテトーゼ型脳性麻痺の後遺症を遺した…(大阪地方裁判所平成23年2月18日判決)
医療裁判:消化管穿孔による腹膜炎患者に対する夜間救急外来での対応
2013年05月01日
過去の脳出血の後遺症のため,体幹機能障害で立位困難,発語困難な男性(当時76歳)が夜に腹痛を訴え,救急車搬送により公立病院の救急外来を受診した。診察に当たった医師は腹部を触診したが明らかな所見は無く,各種検査の結果も正常範囲であったこと,また腹部仰臥位X線画像でも所見が無かったことから,点滴を投与したうえで3時間経過観察をした後,帰宅可能と判断した。しかし,男性の状態が苦しそうであったため…(名古屋地方裁判所平成23年1月14日判決)


