医療裁判紹介バックナンバー

1-10件を表示中
最初

コラム:研究目的で個人情報を利用する際の注意点(前向き研究の場合)

2023年11月17日
私は大学病院で臨床および研究に従事している医師ですが,新たに患者から個人情報を取得して研究(前向き研究)に利用する際の注意点を教えてください。

医療裁判:病院側の主張する添付文書の解釈が認められなかった事例

2023年10月16日
発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療ため,平成28年4月から大学病院でエクリズマブの継続的な投与を受けていた患者(薬剤師,女性,当時29歳)が,髄膜炎菌感染症に罹患し,同年8月23日死亡した。 患者の相続人が,速やかに抗菌薬を投与すべき義務などに違反したと主張して,大学病院に対して損害賠償を求めたところ,裁判所は大学病院が速やかに抗菌薬を投与する義務を怠ったと認め,損害賠償の請求を認めた。(京都地方裁判所令和3年2月17日判決)

コラム:従業員の不正行為が発覚した場合の対応は?退職金を返還させることはできるのか?

2023年09月19日
私は都内の個人病院で事務長をしている者です。半年前に自己都合で退職した職員が,数年来,賞与を水増しして自身の銀行口座に振り込んでいたことが発覚しました。今後,どのように対応したらよいでしょうか。 また退職金も支払っているのですが,退職金全額を返還させることは可能でしょうか。なお,退職金支給規程には「懲戒解雇された場合又は懲戒事由がある場合は減額あるいは不支給とする」という規定があります。

医療裁判:健康診断の受診者が病院の屋上(屋根あり)の通路上に存在した 水たまりに足を滑らせて転倒したことについて 医療機関の責任が認められた事例 ―医療機関が注意すべき工作物責任とは―

2023年08月18日
健康診断のために病院を訪れた受診者(女性,50代)が,院内の健康診断会場でスリッパに履き替えたうえで,レントゲン検査を受けるために別室に移動して検査を受けた後,同会場に戻るため病院屋上の通路を通る際に,通路上に存在した水たまりに足を滑らせ転倒した事案である。 受診者は,病院を運営する医療法人に対して損害賠償を求めたところ,裁判所は,当該通路がスリッパを履いていることもあり得る健康診断受診者が安全に通行することができる性状を欠いた状態にあったとして,転倒について病院の責任を認め,請求の一部を認容した。(東京地方裁判所令和4年1月27日判決)

コラム:患者が違法薬物を使用していることを認識した場合、警察へ通報してもよいのか?通報しなくてはならないのか?

2023年07月19日
外傷により救急搬送されてきた患者に対し、腎臓の損傷の有無を血尿の有無から確認する目的で採尿を行った際、患者が興奮状態にあったことから尿中の薬物検査も実施したところ、覚せい剤の陽性反応が出ました。(1)患者に覚せい剤の使用が疑われることを、医師の立場から警察に通報してもよいものでしょうか。(2)また、必ず警察に通報しなければならないのでしょうか。

医療裁判:臨床研究におけるプロトコル違反の有無が争われた事例 ―医学的研究におけるプロトコルの重要性と プロトコル違反になりそうなケースへの対応方法―

2023年06月16日
患者(男性・当時74歳)が,胸腹部大動脈瘤に対し,日本での薬事承認を得ていない有窓性・枝付きステントグラフト内挿術を受けたが,術後に下肢の血栓症を発症したのち全身状態が悪化して死亡した。 患者の親族らは,手術を担当した医師が臨床研究の計画書(プロトコル)に違反した等と主張し,病院および医師に対して損害賠償請求を行ったが,裁判所は,プロトコル違反が患者との関係で違法とまではいえない等とし,親族らの請求を棄却した。(東京地方裁判所平成30年5月24日判決)

コラム:成年年齢の引き下げはどのような影響がありますか?

2023年05月16日
成年年齢が18歳に引き下げられましたが、医療現場にはどのような影響があるのでしょうか。また、これまでとは異なる対応を何かする必要はあるのでしょうか。

医療裁判:同居家族の勤務先におけるCOVID-19のクラスター発生等を理由に 診療・手術の延期を求めたことが正当化された事例 ―適切な患者対応による訴訟提起の回避可能性―

2023年04月17日
本件は,顎変形症の外科矯正治療を希望している患者(高校3年生,男性)の母親が新型コロナウイルス感染症(以下「COVID-19」)の集団感染が発生した病院に勤務していることを理由に患者の受診を拒否したことが,診療契約上の債務不履行または不法行為にあたる等として,患者の父親が病院に対し慰謝料の支払いを求めた事案である。 裁判所は審理の結果,病院の対応がいずれも正当な理由に基づくものであり,社会通念上相当であったと是認し得るものであるとして,患者の請求を棄却した。(旭川地方裁判所令和3年10月15日判決)

コラム:身体拘束が許される場合とは?

2023年03月27日
一般病院に勤務する看護師です。明日,急性期を脱した患者が大学病院から転院してくることになっているのですが,この患者には認知機能の低下によるものと思われるせん妄があり,何回か自己抜針をしたこともあると聞いています。その大学病院では身体拘束は行っていなかったようなのですが,転院直後にはせん妄が激しくなることがあるうえ,大学病院に比べて当院の人員体制は十分とはいえず,監視だけで転倒や転落が防げるか自信がありません。転院してきたこの患者に対し,ただちに身体拘束を行うことは可能でしょうか。

医療裁判:カルテを確認せずに実施した往診医の診察等 ―療養型病院・施設等の寝当直と注意したい落とし穴―

2023年03月06日
本件は,看取りを行う特別養護老人ホームの入所者(男性・当時94歳)が,状態悪化を理由に,往診医による緊急の診察を受けたが,診察終了の40分後に急変し,診察終了の2時間後に心機能の低下により死亡した事案である。 遺族は,往診医には,カルテの閲覧や検査,医療処置を行うべき注意義務の違反があったなどと主張して,往診医の勤務する病院を経営する社会医療法人,および,往診医個人に対して損害賠償請求を行った。 第一審の地方裁判所は,請求を棄却したが,第二審の高等裁判所は,医師の過失を認め,請求の一部を認容した。(一審:甲府地方裁判所令和元年11月26日判決 控訴審:東京高等裁判所令和2年8月19日判決)
1-10件を表示中
最初