医療裁判紹介バックナンバー

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医療裁判:信頼関係の破綻を理由に行った診療拒否が違法とされた事例

2024年07月15日
患者は,診療所において,継続的に不妊治療を受けていたが,院外において,診療所の看護師と患者の知り合いを名乗る人物との間のトラブルが発生したこと等を理由とし,同診療所から診療を拒否された。 患者は,診療所を運営する医療法人に対して,診療拒否は債務不履行または不法行為にあたるとして慰謝料を請求した。 これに対し,裁判所は,診療所が患者から事情を聴かずにただちに診療を拒否したこと,診療所と患者との間の信頼関係が損なわれたとはいえないことを理由に,診療所が患者の診療を拒否する正当な事由があったとは認められず,診療拒否は債務不履行または不法行為にあたるとして,請求の一部を認容した。(東京地方裁判所令和3年3月30日判決)

コラム:メンタルヘルスの不調で休職していた職員の職場復帰について

2024年06月14日
メンタルヘルスの不調により数ヵ月の間休職していた当院の看護師1)が,職場復帰を希望しているようです。ただ,この職員が休職する直前は頻繁な遅刻や欠席があり,また同僚や患者に対して意味不明な言動を行うなど見られたので,本当に職場復帰できるのか不安があります。どのように職場復帰の可否を判断すればいいのでしょうか。

医療裁判:脳腫瘍との診断を見直さなかったことの妥当性が争われた事例 〜診断に不確実性が残る場合における患者への説明等〜

2024年05月16日
患者(男性・当時40代)は,びまん性星細胞腫と診断され,放射線治療および約4年間にわたる抗がん剤投与を受けたが,同診断は誤りであった可能性が高いことが判明した。 患者は,医師には,同診断を疑うべき事情があったにもかかわらず,診断内容および治療方法を見直さずに治療を継続した過失があり,これにより抗がん剤の副作用が生じたとして,医師および病院を設置する市に対して賠償請求訴訟を提起した。 裁判所は,患者の主張した過失を認めず,請求を棄却した。(名古屋地方裁判所令和3年1月29日判決)

コラム:患者が他患者を殴って傷害を負わせた場合の対応

2024年04月15日
脳卒中のため見当識障害のある入院患者Aさんが,同室でベッドに寝て独語を発していた患者Bさんの顔面を数発殴り,Bさんに大けがを負わせてしまいました。院内で今後の対応を協議したところ以下の疑問点が挙がりましたので,教えてください……。

医療裁判:膀胱刺激症状を訴える患者の膀胱癌の発見が遅れた事例

2024年03月15日
頻尿,陰部の不快感等を訴えて長期通院し,抗菌薬等を処方されていた患者が,精密検査により浸潤性尿路上皮癌が発見され,開腹膀胱前立腺尿道摘除術および回腸導管造設術を受けた結果,永久的にストマを要する状態となった。患者は長期通院していた病院に対し,早期に尿細胞診または膀胱内視鏡検査を行うか,そのような検査可能な医療機関を紹介すべき注意義務違反により,膀胱癌の発見の機会を失わせ,永久的にストマを要する膀胱と直腸の各機能障害の後遺障害を負わせた等として,医師に対し損害賠償を求めた。 審理の結果,請求は棄却された。(大阪地方裁判所令和2年6月24日判決)

コラム:院内パソコン等のモニタリングについて

2024年02月15日
当院では、当院所有のパソコンやタブレットを職員が業務に使用しているのですが、一部の職員が、業務時間中に、私的メールやSNS、ネットサーフィン等をしている疑いが出てきました。確実な証拠がないため、院内パソコン等をモニタリングして、業務時間中の私的利用の事実を確認しようと思うのですが、そもそもこのようなモニタリングをしても大丈夫なのでしょうか。

医療裁判:白内障手術実施中の中止判断

2024年01月15日
左眼老人性白内障に対する白内障手術を受けた患者(女性,当時75歳)が,術後,左眼耳下側の網膜における増殖性硝子体網膜症(PVR)および裂孔原性網膜剥離を発症した。 患者は,執刀医には,本件手術中に眼圧が上昇し,前房が十分確保されない状態となった時点で手術を中止すべき注意義務の違反があったなどと主張して,病院を経営する医療法人および執刀医個人に対して,損害賠償請求を行った。 裁判所は,執刀医の過失を認め,請求の一部を認容した。(鹿児島地方裁判所平成30年5月22日判決)

コラム:研究目的で個人情報を利用する際の注意点(後向き研究の場合)

2023年12月15日
私は大学病院で臨床および研究に従事している医師です。研究で過去の症例情報を利用するものの試料を研究に用いない場合の注意点を教えてください。

コラム:研究目的で個人情報を利用する際の注意点(前向き研究の場合)

2023年11月17日
私は大学病院で臨床および研究に従事している医師ですが,新たに患者から個人情報を取得して研究(前向き研究)に利用する際の注意点を教えてください。

医療裁判:病院側の主張する添付文書の解釈が認められなかった事例

2023年10月16日
発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療ため,平成28年4月から大学病院でエクリズマブの継続的な投与を受けていた患者(薬剤師,女性,当時29歳)が,髄膜炎菌感染症に罹患し,同年8月23日死亡した。 患者の相続人が,速やかに抗菌薬を投与すべき義務などに違反したと主張して,大学病院に対して損害賠償を求めたところ,裁判所は大学病院が速やかに抗菌薬を投与する義務を怠ったと認め,損害賠償の請求を認めた。(京都地方裁判所令和3年2月17日判決)
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