医療裁判紹介バックナンバー

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医療裁判:臨床研究におけるプロトコル違反の有無が争われた事例 ―医学的研究におけるプロトコルの重要性と プロトコル違反になりそうなケースへの対応方法―

2023年06月16日
患者(男性・当時74歳)が,胸腹部大動脈瘤に対し,日本での薬事承認を得ていない有窓性・枝付きステントグラフト内挿術を受けたが,術後に下肢の血栓症を発症したのち全身状態が悪化して死亡した。 患者の親族らは,手術を担当した医師が臨床研究の計画書(プロトコル)に違反した等と主張し,病院および医師に対して損害賠償請求を行ったが,裁判所は,プロトコル違反が患者との関係で違法とまではいえない等とし,親族らの請求を棄却した。(東京地方裁判所平成30年5月24日判決)

コラム:成年年齢の引き下げはどのような影響がありますか?

2023年05月16日
成年年齢が18歳に引き下げられましたが、医療現場にはどのような影響があるのでしょうか。また、これまでとは異なる対応を何かする必要はあるのでしょうか。

医療裁判:同居家族の勤務先におけるCOVID-19のクラスター発生等を理由に 診療・手術の延期を求めたことが正当化された事例 ―適切な患者対応による訴訟提起の回避可能性―

2023年04月17日
本件は,顎変形症の外科矯正治療を希望している患者(高校3年生,男性)の母親が新型コロナウイルス感染症(以下「COVID-19」)の集団感染が発生した病院に勤務していることを理由に患者の受診を拒否したことが,診療契約上の債務不履行または不法行為にあたる等として,患者の父親が病院に対し慰謝料の支払いを求めた事案である。 裁判所は審理の結果,病院の対応がいずれも正当な理由に基づくものであり,社会通念上相当であったと是認し得るものであるとして,患者の請求を棄却した。(旭川地方裁判所令和3年10月15日判決)

コラム:身体拘束が許される場合とは?

2023年03月27日
一般病院に勤務する看護師です。明日,急性期を脱した患者が大学病院から転院してくることになっているのですが,この患者には認知機能の低下によるものと思われるせん妄があり,何回か自己抜針をしたこともあると聞いています。その大学病院では身体拘束は行っていなかったようなのですが,転院直後にはせん妄が激しくなることがあるうえ,大学病院に比べて当院の人員体制は十分とはいえず,監視だけで転倒や転落が防げるか自信がありません。転院してきたこの患者に対し,ただちに身体拘束を行うことは可能でしょうか。

医療裁判:カルテを確認せずに実施した往診医の診察等 ―療養型病院・施設等の寝当直と注意したい落とし穴―

2023年03月06日
本件は,看取りを行う特別養護老人ホームの入所者(男性・当時94歳)が,状態悪化を理由に,往診医による緊急の診察を受けたが,診察終了の40分後に急変し,診察終了の2時間後に心機能の低下により死亡した事案である。 遺族は,往診医には,カルテの閲覧や検査,医療処置を行うべき注意義務の違反があったなどと主張して,往診医の勤務する病院を経営する社会医療法人,および,往診医個人に対して損害賠償請求を行った。 第一審の地方裁判所は,請求を棄却したが,第二審の高等裁判所は,医師の過失を認め,請求の一部を認容した。(一審:甲府地方裁判所令和元年11月26日判決 控訴審:東京高等裁判所令和2年8月19日判決)

コラム:患者の紹介料を払っても良いのか?

2023年02月13日
新型コロナウィルス感染症が収束した後に,医療ツーリズム(診療目的の旅行)の受け入れ,特にアジアからの患者の受け入れを検討しています。医療法人と患者さんの間に,日本在住のコーディネーターが仲介役になり,コーディネーターが患者さんを連れてくる方式です。コーディネーターからは,紹介料の支払いを条件とされていますが,支払うことは法的に可能でしょうか。紹介料等の支払いが可能な場合には,留意点を教えてください。

医療裁判:急性期病院の入院患者への退院請求

2023年01月23日
頸椎症性脊髄症の患者(男性,60歳代後半)に対する頸椎前方固定術後,患者が低酸素脳症による遷延性意識障害となり,急性期病棟にある個室への入院を継続した。 病院は,患者の病態が急性期を脱したことや患者側の損害賠償請求により信頼関係が破綻したことを理由にして転院を求めたが,患者側が転院に応じなかったことから,訴訟を提起して患者に退院(病室の明け渡し)を請求した…(東京地方裁判所令和元年10月31日判決)

コラム:個人情報漏えいにおける賠償額と患者対応について

2023年01月10日
私は医療法人の事務長をしている者です。当院の健診を受けた患者Aさんから,昨日,別の人の健診結果が送られてきたと電話がありました。確認したところ,Aさんに誤って患者Bさんの健診結果を送付していたことが判明しました。連絡をくれたAさんには,訪問の上,謝罪し,一応の理解は得られ,Bさんの健診結果も返却してもらいましたが,まだBさんには事情を説明していません。この場合,Bさんに対する賠償額はいくらが妥当でしょうか。今後,Bさんにどのように対応したらよいのかも教えてください。 なお,誤って送付された内容は,氏名のほか,採血結果,尿検査結果,要精密検査などの判定内容です。

医療裁判:胸腔鏡下拡大胸腺摘出術において, 医師の手技上の過失が認められた事例

2022年12月19日
重症筋無力症およびその合併症である胸腺腫と診断された患者(男性,当時47歳)が,胸腔鏡下拡大胸腺摘出術を受けたところ,手術中に大量出血により低酸素脳症を発症し,意識が回復しないまま,手術の約1年後に死亡した…(広島地方裁判所令和2年12月22日判決)

コラム:年俸制の医師に対する残業代の支払いは?

2022年12月05日
当院では、医師との雇用契約で年俸制を採用しており、年俸には残業代も含まれています。コロナ禍の下、業務が多忙となり、勤務時間を大幅に超過している医師も出て来ており、医師からは残業代が支払われないのはおかしいと言われています。残業代を含めた上で年俸額を決めているにもかかわらず、残業代を支払う必要はあるのでしょうか。
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