医療裁判紹介バックナンバー
医療裁判:白内障手術に関するカルテの改ざんについて損害賠償責任が認められた事例
2022年08月31日
両眼の白内障手術後,左網膜中心動脈閉塞症により左眼失明の後遺障害を負った患者(男性・当時80歳)が,執刀医には,術前説明を怠った過失および術後の眼圧の適切な管理を怠った過失があり,また,執刀医によるカルテの改ざんや虚偽説明によって精神的損害を被ったと主張して損害賠償請求を行った…(東京地方裁判所令和3年4月30日判決)
コラム:紹介状作成と患者の同意(個人情報保護の観点から)
2022年08月03日
当院受診中の患者さんが引っ越すことになり,患者さんから引っ越し先の医療機関を受診するために紹介状の作成を依頼されました。
しかし,併せて患者さんから,一部の病歴についてプライバシーの観点から紹介状に記載しないで欲しいとの要請がありました。私は,転院先の医療機関が医学的に適正な診療を行うためにはすべての病歴を提供する必要があると考えているのですが,どうすれば良いでしょうか。
医療裁判:RFA後の患者が術後出血に伴う出血性ショックで死亡した事例
2022年07月13日
本件は,原発性肝臓癌と診断された患者(男性・当時73歳)が,RFA(ラジオ波焼灼術)を受けたところ,翌日,術後出血による出血性ショックが原因で死亡した事案である…(金沢地方裁判所令和2年3月30日判決)
コラム:DNAR指示等への対応について
2022年06月22日
Q1.カルテに「DNAR」の指示が記載されている患者が呼吸不全に陥りました。この場合、人工呼吸器管理を行ってよいのでしょうか。
医療裁判:心臓カテーテル検査における重症先天性心疾患を有する小児に対する麻酔方法ならびにその管理方法(末梢静脈路確保の重要性と麻酔濃度を低下させる時期)について
2022年06月08日
本件は,重度の先天性心疾患を有する患児(当時2歳)に対し,双方向グレン手術の適応を判断するため,心臓カテーテル検査を実施した際,循環動態が悪化し,低酸素脳症を来し,その後死亡した事案である。
患児の両親が,小児科医のみで吸入麻酔薬ハロタンを使用したのは過失である…(東京地方裁判所平成30年6月21日判決)
コラム:病院の医師が痴漢行為で逮捕された場合はどうすればよいか?
2022年05月25日
当院の医師が,休日に電車の中で痴漢行為をした疑いで逮捕されました。医師が逮捕されたことは初めての経験なので,どうしたらいいのか,どのようになるのか分かりません。当該医師の業務の引き継ぎや処遇など,病院としてどのような対応をとるべきでしょうか。
また,当該医師が,犯行を否認し冤罪を主張している場合はどうすべきでしょうか。
医療裁判:患者の希望を叶えようとして行った処方が過失と認められた事例
2022年05月11日
医師は,脳腫瘍(膠芽腫)の再発により通院中の患者(女性・死亡時43歳)に対し,てんかんによるふらつきを抑えサンバの大会に出場したいという患者の希望を叶えるために必要と考え,抗てんかん薬ラモトリギンを添付文書の用法・用量を遵守せずに処方した。しかし,その後,患者は,ラモトリギンの副作用により薬疹が生じ,その後,中毒性表皮壊死症による両側肺炎および肺出血で死亡した…(東京地方裁判所令和2年6月4日判決)
医療裁判:ベッドサイドモニタのアラーム設定の確認が 不十分であったとされた事例
2022年04月20日
SICUからSHCUへ転床した患者(男性,当時66歳)について,複数の情報管理システム同士の連携機能が働いたことにより,転床の際,ベッドサイドモニタのアラームがONに設定されていたものが,電子カルテ上の操作が原因で一部OFFの設定となった。その後,患者の容態が急変したものの,アラームが作動しなかったために心肺蘇生措置が遅れ,患者に低酸素脳症による後遺障害が生じた(なお,患者は訴訟係属中に死亡した)…(東京地方裁判所令和2年6月4日判決)
コラム:看護師が行うことのできる医行為の範囲とは?
2022年04月06日
Q.訪問介護を行うクリニックを開設していますが,医師が足りずに困っています。そこで,これまで医師が行っていた一部の行為を看護師に行わせ,効率的に診療を進められないかと考えているのですが,1.静脈注射,2.褥瘡に対する洗浄あるいはデブリードマン,3.診断そのものを看護師に行わせることは可能でしょうか。
医療裁判:帝王切開術後の女性が退院前に肺血栓塞栓症で死亡した事例
2022年03月18日
クリニックでの帝王切開術により出産した患者(女性,35歳)が,病室で過ごしていたところ,左下肢に浮腫が見られた後,ナースステーションの前で倒れ,気分が悪いなどと訴えた。患者は,すぐさま高次医療機関に運ばれたものの,肺血栓塞栓症にて死亡が確認された…(宮崎地方裁判所平成30年9月12日判決)

