遺伝子治療の発展に貢献、アデノ随伴ウイルスベクター製造時に用いるエンドヌクレアーゼ酵素「EndoCleave」発売

ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社
2025年5月15日

ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長 兼 CEO:小笠原 信、以下ロシュ)は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターをはじめとするウイルスベクターを用いた遺伝子治療薬の製造に不可欠なエンドヌクレアーゼ酵素「EndoCleave」(エンドクリーブ)を、2025年5月15日に発売することをお知らせします。

近年、細胞や遺伝子に働きかけて病気の治療を目指す細胞・遺伝子治療(CGT)は、革新的な医療技術として世界的に急速な成長を遂げ、大きな期待を集めています。特にAAVベクターを用いる遺伝子治療薬は、その安全性と持続的な遺伝子発現の特性から注目され、承認済みの多くの遺伝子治療薬や開発中の臨床試験で活用されています。ウイルスベクターの製造プロセスにおいては、目的とするウイルスベクターを高純度かつ大量に製造することが重要な鍵となります。

「EndoCleave」は、AAVベクターを含むウイルスベクター製造プロセスの宿主細胞溶解後の純化段階で用いられるエンドヌクレアーゼ酵素です。不要な宿主細胞由来のDNAやRNAなどの核酸を選択的に効率よく分解・除去し、目的のウイルスベクターの構造や機能を維持し、タンパク質も分解せず保持します。この特性により、「EndoCleave」はより効率的かつ高品質なウイルスベクターの製造を可能にし、安全で信頼性の高い遺伝子治療薬の開発に貢献することが期待されます。

ロシュは、長年にわたり培ってきた高品質な診断薬・研究用試薬の開発・製造技術と、バイオ医薬品製造における卓越した実績を活かし、「EndoCleave」を通じて、CGT分野の発展に寄与してまいります。

【製品概要】
製品名:EndoCleave
用途:ウイルスベクター(特にアデノ随伴ウイルスベクター)、ウイルスワクチン、腫瘍溶解性ウイルスの製造における核酸除去。タンパク質精製時の核酸除去
特長:
・DNAとRNAの両方を効率的に分解し、高純度なウイルスベクター取得をサポート
・ウイルスベクターの構造や機能を損なわず、不要な核酸のみを除去
・残留核酸量を効果的に低減し、規制要件の遵守を支援
・GMPグレード品質、動物由来成分不含(AOF)、抗生物質フリー
・AAVベクター、ウイルスワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)、iPS細胞、間葉系幹細胞(MSC)の精製や、タンパク質精製にも利用可能
・研究開発用途の少量パッケージから、製造用のバルク容量での提供が可能

【AAV(アデノ随伴ウイルス)ベクターについて】
AAVベクターは、遺伝子治療において、遺伝子の運び屋として機能します。治療効果をもたらす目的の遺伝子(治療用遺伝子)をそのゲノムに搭載し、標的とする細胞の核に届けます。細胞の核に届けられた治療用遺伝子は、その情報に基づいてタンパク質を産生します。この産生されたタンパク質が、疾患の原因となっている異常を補正したり、治療効果を発揮したりすることが期待されます。AAVは、他のウイルスベクターと比較して、ゲノムに組み込まれるリスクが非常に小さく、がん化などの副作用のリスクを低減できると考えられています。またAAVは非病原性のウイルスであるため、感染しても通常は病気を引き起こしません。この安全性から、遺伝子治療のベクターとして広く利用されています。

【お問い合わせ先】
広報(報道関係者向け)
tokyo.pr@roche.com

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