重症小児患者でのHFNCはCPAPに非劣性:FIRST-ABC step-up試験
Effect of High-Flow Nasal Cannula Therapy vs Continuous Positive Airway Pressure Therapy on Liberation From Respiratory Support in Acutely Ill Children Admitted to Pediatric Critical Care Units: A Randomized Clinical Trial
背景
小児重症患者の呼吸補助において、高流量鼻カニューラ(HFNC)の使用が拡がっているが、小児を対象としてHFNCの臨床的意義を裏付ける臨床試験データはほとんど無い。
イングランドImperial College LondonのRamnarayanらは、イギリス国内24の小児急性期治療室において、0〜15歳の急性疾患児を対象とした実臨床的ランダム化非劣性試験FIRST-ABC step-upを実施し、HFNC(体重基準流量)のCPAP(7〜8 cmH2O)に対する非劣性性を検討した(n=600)。
結論
573名が解析対象となった。呼吸補助が不要となるまでの時間はHFNC群で52.9時間、CPAP群で47.9時間(中央値)であり、非劣性基準を満たした。事前に指定された二次アウトカムのうち、鎮静剤の使用(27.7% vs. 37%)、CCU滞在日数(中央値5日 vs. 7.4日)、急性期入院期間(13.8日 vs. 19.5日)は、HFNC群で優った。
評価
FIRST-ABCのもう一つの試験、抜管後患者での呼吸補助を検討したstep-down試験では、HFNCの非劣性は示されなかったが(https://www.medicalonline.jp/review/detail?id=6240)、このstep-up試験ではHFNCの非劣性が認められた。両試験の結果の差がなにに由来するのか、は重要な問題である。