急性中毒による昏睡患者で挿管をする必要はあるか?
Effect of Noninvasive Airway Management of Comatose Patients With Acute Poisoning: A Randomized Clinical Trial
背景
意識レベルの低下した外傷患者では気管挿管が必要と考えられているが、急性中毒患者にも適応されるべきだろうか?
フランスIMProving Emergency Care FHUのFreundらは、同国20ヵ所の救急外来、1ヵ所の集中治療室において、急性中毒でグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)が9に満たない昏睡患者を対象に、挿管の差し控え、または通常ケアへと割り付け、一次複合エンドポイント(院内死亡・ICU滞在期間・入院期間)への影響を検証する多施設RCTを実施した(n=225)。
結論
院内死亡は発生しなかった。
一次エンドポイントは挿管を差し控えた介入群が優り、勝率比(win ratio)は1.85であった。また、介入群では有害事象の発生率が低く(6% vs. 14.7%)、肺炎の発生も少なかった(6.9% vs. 14.7%)。
評価
GCSが8未満の患者では、挿管によって誤嚥を予防し、酸素化を改善し得ると考えられていたが、本試験では、ICU滞在期間・入院期間は挿管を差し控えたグループで、むしろ短縮した。また、非有意ながら、肺炎についても挿管群でリスクが増加する傾向も認められた。
呼吸不全やその他の適応がない急性中毒患者に対して、直ちに挿管を行う必要はない。