アメリカ大学スポーツでの心臓突然死は減少傾向
Sudden Cardiac Death in National Collegiate Athletic Association Athletes: A 20-Year Study
背景
2022年、NBLのスター選手レブロン・ジェームズの息子ブロニーが、大学バスケットボールの練習中に一時心停止に陥ったことがアメリカで大きなニュースとなった。健康なはずの若いアスリートの心停止は社会的な注目を浴びやすいが、アスリートの心臓突然死は増加しているのか?
アメリカMassachusetts General HospitalのPetekらは、4つのデータベースと検索により、全米大学体育協会(NCAA)において、2002年7月からの20年間に死亡したアスリートを特定し、専門家パネルによる剖検報告書と病歴の検討から心臓突然死の原因を判定した。
結論
全死亡例1,102件のうち、143件が心臓突然死であった。
心臓突然死の発生率は63,682人年あたり1件の割合であり、男性の発生率が女性より高く(1:43348 vs. 1:164504)、黒人の発生率が白人より高かった(1:26704 vs. 1:74581)。また、競技別では男子バスケットボールのディビジョンI(一部)で高かった。心血管死亡以外の死亡率が安定していた一方で(5年発生率比0.98)、心臓突然死の発生率は減少していた(0.71)。
原因判定に十分な情報が得られた症例(n=118)では、原因不明が19.5%、特発性左室肥大または心筋症疑いが16.9%、肥大型心筋症が12.7%であった。心筋炎に起因する死亡は8件であったが、COVID-19感染によるものはなかった。突然死イベントの50%は労作性であった。
評価
蘇生教育やAED設置の成果か、大学アスリートの心臓死は過去20年で減少傾向にあった。黒人選手、バスケットボール選手で顕著にリスクが高く、集中的スクリーニングが必要かもしれない。