手術低リスクの重度症候性大動脈弁狭窄症に対するTAVR、5年ではSAVRと「有意差なし」:PARTNER 3
Transcatheter Aortic-Valve Replacement in Low-Risk Patients at Five Years

カテゴリー
循環器、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
November 2023
389
開始ページ
1949

背景

重度症候性大動脈弁狭窄症(AS)の手術低リスク患者に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)と外科的大動脈弁置換術(SAVR)の効果・安全性を比較したPARTNER 3試験は、TAVRの1年時点での優位性を示した。
同試験のアメリカBaylor Scott and White HealthのMackらは、その5年時点での結果を発表した(n=1,000)。第1一次エンドポイントは、死亡・脳卒中・弁/手技/心不全関連再入院の複合、第2一次エンドポイントは、死亡・脳卒中・再入院日数の階層的複合である。

結論

第1一次エンドポイントにおいてTAVRが優ったが有意差はなく(22.8% vs. 27.2%)。第2一次エンドポイントのwin比は1.17であった。第1一次エンドポイントでは、死亡でSAVRがTAVRに優ったが有意でなかった(10.0% vs. 8.2%)。平均圧較差は、TAVR群で12.8 mmHg、SAVR群で11.7 mmHgであった。生体弁機能不全は、TAVR群の3.3%、SAVR群の3.8%に発生した。

評価

Sapien 3(Edwards Lifesciences)によるTAVRととSAVRとの直接比較試験である。1年時点での結果はTAVR優位を示唆したが、5年では有意差はなくなっていた。学会発表ではTAVRの死亡率がSAVRより高かったことが驚かれた、という。現時点は「勝負」はついておらず、10年時点での結果を待つことになるが、TAVRの臨床的優位性は変わらない。 

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)