抗デスモゾーム自己抗体はARVCのバイオマーカー
An autoantibody identifies arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy and participates in its pathogenesis

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
European Heart Journal
年月
September 2018
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背景

不整脈源性右室心筋症(ARVC)患者にはデスモゾーム遺伝子変異が報告されているが、病態形成には自己免疫機構が関わっているとみられる。カナダUniversity of TorontoのChatterjeeらは、45名の同患者における抗デスモゾームタンパク(desmoglein-2[DSG2]・desmocollin-2・N-cadherin) 抗体の出現を検討した。

結論

抗DSG2抗体は、異なる患者コホートで12/12、25/25に認められ、境界型患者コホートでは7/8に認められた(対照の健常者コホートでは1例のみ)。同一所見はARVC変異保有犬でも認められた。患者では抗DSG2抗体価は右室萎縮と関連しており、抗体がギャップ結合機能不全を起こすことが示された。ARVC患者では遺伝子変異の有無に関わらず抗DSG2抗体を認め、疾患特異的DSG2エピトープが特定された。抗DSG2抗体は、ARVCの高感度・高特異度マーカーとなりえる。

評価

ARVCの有力なバイオマーカーを特定した。著者らは自己抗体が病態形成に関与する機構は不詳としており、遺伝子変異との相互作用の解明が課題となる。

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取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)