猛暑による死亡、今世紀半ばには現在の数倍に
Projected Change in the Burden of Excess Cardiovascular Deaths Associated With Extreme Heat by Midcentury (2036-2065) in the Contiguous United States

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
Circulation
年月
November 2023
148
開始ページ
1559

背景

夏の猛暑は心血管関連の死亡率を上昇させることが報告されているが(https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.122.060746)、グローバルな気候変動対策の遅れから、猛暑の期間と強度は今後も増加し続けると予測されている。
アメリカUniversity of PennsylvaniaのKhatanaらは、2008〜2019年における、全米の各群ごとの猛暑日(32.2°C [90°F]以上)日数と成人の心血管死亡のデータを取得し、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が報告した温室効果ガス排出についての将来シナリオ「共通社会経済経路(SSP)」のうち、2つのシナリオに基づき、2036〜2065年の猛暑日と関連する心血管超過死亡数を予測・算出した。

結論

2008〜2019年の猛暑は、年間1,651人の心血管超過死亡と関連していた。
中道的発展と排出量増加によるシナリオSSP2-4.5では、今世紀半ばの猛暑による心血管超過死亡が、162%増の年間4,320人へ、化石燃料依存の従来型発展を続けるシナリオSSP5-8.5では、233%増の年間5,491人へと増加すると予測された。シナリオSSP2-4.5では、高齢者では非高齢者と比して3.5倍、黒人では白人と比して4.6倍の死亡数増加が予測された。

評価

IPCCの気候変動シナリオに基づく予測で、猛暑による超過死亡が現在の数倍、全米で年間5,000人を超える規模に拡大する可能性を示唆した。高齢者やマイノリティでは特に影響が大きく、気候変動は公衆衛生のレベルでもクリティカルな課題とみなされるべきである。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)