甲状腺髄様がんへのRET阻害薬セルペルカチニブ、進行7割減:LIBRETTO試験、531も成功
Phase 3 Trial of Selpercatinib in Advanced RET-Mutant Medullary Thyroid Cancer
背景
甲状腺髄様がんは甲状腺がんのうち1%ほどを占めるに過ぎないが、主としてRET変異にドライブされることから、RETキナーゼ阻害薬が有望視されている。
フランスGustave Roussy and ENDOCAN-TUTHYREF NetworkのHadouxら(LIBRETTO-531)は、14ヵ月以内に進行が認められた進行甲状腺髄様がん患者での一次治療として、選択的RET阻害剤セルペルカチニブまたはカボザンチニブ/バンデタニブ(主治医の選択による)を2:1の割合で割り付け、無増悪生存期間・その他のアウトカムを比較する第3相RCTを実施した(n=291)。
結論
フォローアップ期間12ヵ月(中央値)時点での無増悪生存期間は、セルペルカチニブ群では中央値未到達、対照群では中央値16.8ヵ月であった(ハザード比0.28)。
12ヵ月無増悪生存率はそれぞれ86.8%、65.7%であった。治療失敗(治療関連有害事象による中止を含む)までの生存期間は、セルペルカチニブ群で中央値未到達、対照群で中央値13.9ヵ月であり(ハザード比0.25)、治療失敗なき12ヵ月生存率はそれぞれ86.2%、62.1%であった。全奏効率はセルペルカチニブ群69.4%、対照群38.8%であった。
減量に至った有害事象発生率はセルペルカチニブ群38.9%、対照群77.3%であり、各群4.7%、26.8%が治療中止に至った。
評価
RET陽性肺がんでのLIBRETTO-431とともにNEJM誌を飾った。
セルペルカチニブは、従来の標準治療であるカボザンチニブまたはバンデタニブと比して、PFS・奏効率ともに向上しており、毒性プロファイルも良好であった。RET変異を有する甲状腺髄様がんにおける新しい標準治療となるだろう。