アメリカ メリーランド州からアシネトバクター/カンジダ・アウリスの有病率を報告
Prevalence of Acinetobacter baumannii and Candida auris in Patients Receiving Mechanical Ventilation
背景
カルバペネム耐性アシネトバクター(Acinetobacter)とカンジダ・アウリス(Candida auris)は、アメリカCDCが2019年に作成した薬剤耐性菌の脅威についての報告書で、ともに最上位となる「緊急urgent」カテゴリーに分類された新興病原体であるが、アメリカでの広範な有病率調査はA baumanniiで2009年に1件行われたのみであった。
アメリカUniversity of MarylandのHarrisらは、Maryland Multi-Drug Resistant Organism Prevention Collaborativeとして、メリーランド州の急性期病院33施設・長期療養施設18施設で2023年3月から7月にかけて、A baumannii、カルバペネム耐性A baumannii(CRAB)、C aurisの点有病率を横断的に調査した。
結論
人工呼吸患者482名がA baumanniiについて、470名がC aurisについてスクリーニングを受けた。
A baumanniiは30.7%で検出され、そのうち59.5%がCRABであった。C aurisは6.6%で検出された。長期療養施設の患者は、急性期病院の患者と比して、A baumannii(相対リスク 7.66)、CRAB(5.48)、C auris(1.97)の検出が多かった。また、C auris陽性例のうち9件(29.0%)は、州保健当局に報告されていなかった。
評価
日本におけるAcinetobacter属のカルバペネム耐性の頻度は低いと報告されているが、アメリカでは大きな脅威となっている。
本調査は、CRABおよびC aurisの保菌が人工呼吸患者に広くみられること、長期療養施設では特に割合が高いことを見い出した。耐性菌対策の基礎となる重要な実態調査である。