アメリカ メリーランド州からアシネトバクター/カンジダ・アウリスの有病率を報告
Prevalence of Acinetobacter baumannii and Candida auris in Patients Receiving Mechanical Ventilation

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
October 2023
330
開始ページ
1769

背景

カルバペネム耐性アシネトバクター(Acinetobacter)とカンジダ・アウリス(Candida auris)は、アメリカCDCが2019年に作成した薬剤耐性菌の脅威についての報告書で、ともに最上位となる「緊急urgent」カテゴリーに分類された新興病原体であるが、アメリカでの広範な有病率調査はA baumanniiで2009年に1件行われたのみであった。
アメリカUniversity of MarylandのHarrisらは、Maryland Multi-Drug Resistant Organism Prevention Collaborativeとして、メリーランド州の急性期病院33施設・長期療養施設18施設で2023年3月から7月にかけて、A baumannii、カルバペネム耐性A baumannii(CRAB)、C aurisの点有病率を横断的に調査した。

結論

人工呼吸患者482名がA baumanniiについて、470名がC aurisについてスクリーニングを受けた。
A baumanniiは30.7%で検出され、そのうち59.5%がCRABであった。C aurisは6.6%で検出された。長期療養施設の患者は、急性期病院の患者と比して、A baumannii(相対リスク 7.66)、CRAB(5.48)、C auris(1.97)の検出が多かった。また、C auris陽性例のうち9件(29.0%)は、州保健当局に報告されていなかった。

評価

日本におけるAcinetobacter属のカルバペネム耐性の頻度は低いと報告されているが、アメリカでは大きな脅威となっている。
本調査は、CRABおよびC aurisの保菌が人工呼吸患者に広くみられること、長期療養施設では特に割合が高いことを見い出した。耐性菌対策の基礎となる重要な実態調査である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)