高齢患者が救急で一晩待機させられると死亡リスクが増す
Overnight Stay in the Emergency Department and Mortality in Older Patients
背景
救急外来の患者は、病棟ベッドの空きを待つため、ストレッチャーの上で長時間の待機を余儀なくされる場合があり、待機時間の延長は臨床的アウトカムの悪化と関連することが知られている。
フランスCentre Hospitalier Universitaire(CHU)de RouenのRousselらは、同国97ヵ所の救急外来を2022年12月に受診した75歳以上の高齢患者(n=1,598)を対象とした前向コホート研究を実施し、午前0時から午前8時の間、救急に滞在した患者と0時前に病棟に入院した患者の院内死亡率・その他のアウトカムを比較した。
結論
707名(44%)が救急外来で、残る891名が病棟で夜を過ごした。
院内死亡率は、救急待機患者で15.7%、病棟患者では11.1%と、救急待機群で有意に高かった(調整リスク比 1.39)。また、転倒・感染・出血・心筋梗塞・脳卒中・血栓・褥瘡・ナトリウム濃度異常からなる院内有害事象リスクも高く(調整リスク比 1.24)、入院期間も延長した(率比 1.20)。
事前指定サブグループ解析では、救急待機と院内死亡率上昇との関連は、日常生活動作に介助を必要とする患者で顕著に認められた(調整リスク比 1.81)。
評価
観察研究であり、交絡の可能性は否定できないが、救急での長時間待機の有害性を示す新しいデータである。高齢患者、特に介助を必要とする高齢患者は、優先的に入院できる運用が必要とされる。