便中のRNAから大腸がんを検出する検査(ColoSense)が登場:CRC-PREVENT試験
Multitarget Stool RNA Test for Colorectal Cancer Screening
背景
便潜血検査は標準的な大腸がん検診法であるが、進行期でない病変・がんでは感度が十分でない。これを改善すべく、近年、便中の大腸がん特異的ゲノムマーカーを検出するアプローチが提唱されており、第一世代マルチターゲット便DNA検査(Cologuard)は免疫法便潜血検査(FIT)を上回る検出率を示している。
アメリカWashington University School of MedicineのBarnellら(CRC-PREVENT)は、ソーシャルメディアプラットフォームを通じて募集された参加者(n=8,920)で大腸内視鏡検査に先立って便サンプルを採取、FIT、8種類のRNA転写物濃度、喫煙歴を組み込んだマルチターゲット便RNA検査(ColoSense)を実施し、大腸がん・advanced adenomaの検出感度・特異度を大腸内視鏡検査と比較する第3相試験を実施した。
結論
参加者の平均年齢は55歳であった。0.40%(36名)で大腸がん、6.8%(606名)でadvanced adenomaが検出された。
ColoSenseの大腸がん検出感度は94%、advanced adenoma検出感度は46%であり、内視鏡検査で病変が見られない場合の特異度は88%であった。ColoSenseはFITと比較して、大腸がん(94% vs. 78%)、advanced adenoma(46% vs. 29%)の双方で検出感度の有意な改善を示した。
評価
ColoSenseはII期大腸がん2名を見逃したものの、I期患者14名を含め、それ以外の全ての大腸がんを検出し得た。DNA検査・RNA検査とも特異度ではFITに劣るが、大腸がん検出感度が向上しているため、FITよりも検診間隔を開けることが可能である。また、現在、より特異度の高い第二世代便DNA検査が検証されている(NCT04144738)。