拡張型心筋症に関連するactionable変異に人種差
Genetic Architecture of Dilated Cardiomyopathy in Individuals of African and European Ancestry
背景
拡張型心筋症 (DCM) には、人種差があることが示されている。
アメリカOhio State UniversityのJordanらは、祖先がアフリカ人/ヨーロッパ人/アメリカ先住民と自己申告したDCM患者各505名/667名/26名における36のDCM関連遺伝子の変異について、病原性/病原性疑い/病原性不明の分類を試みた。
結論
祖先がアフリカ人の患者は、祖先がヨーロッパ人の患者と比較して、actionable変異を有する割合が低かった(8.2% vs. 25.5%)。祖先がアフリカ人の患者は、タイチン遺伝子にactionable変異を有することが少なく、タイチン以外の遺伝子に病因と疑う機能喪失変異があった。祖先がアフリカ人の患者でしか見つからない変異では、臨床症例に基づく病原性についてのデータが少なかった。
評価
DCMの人種・民族差は疫学レベルでは、情報が多いが(https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2021.10.021)、この規模での遺伝子解析は初めてである。DCMには遺伝子標的化治療の試みが始まっており(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9305112/)、治療対象特定のベースとなる。