拡張型心筋症に関連するactionable変異に人種差
Genetic Architecture of Dilated Cardiomyopathy in Individuals of African and European Ancestry

カテゴリー
循環器、Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
August 2023
330
開始ページ
432

背景

拡張型心筋症 (DCM) には、人種差があることが示されている。
アメリカOhio State UniversityのJordanらは、祖先がアフリカ人/ヨーロッパ人/アメリカ先住民と自己申告したDCM患者各505名/667名/26名における36のDCM関連遺伝子の変異について、病原性/病原性疑い/病原性不明の分類を試みた。

結論

祖先がアフリカ人の患者は、祖先がヨーロッパ人の患者と比較して、actionable変異を有する割合が低かった(8.2% vs. 25.5%)。祖先がアフリカ人の患者は、タイチン遺伝子にactionable変異を有することが少なく、タイチン以外の遺伝子に病因と疑う機能喪失変異があった。祖先がアフリカ人の患者でしか見つからない変異では、臨床症例に基づく病原性についてのデータが少なかった。

評価

DCMの人種・民族差は疫学レベルでは、情報が多いが(https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2021.10.021)、この規模での遺伝子解析は初めてである。DCMには遺伝子標的化治療の試みが始まっており(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9305112/)、治療対象特定のベースとなる。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)