外傷患者の換気における深呼吸機能の使用は有益か:SiVent
Sigh Ventilation in Patients With Trauma: The SiVent Randomized Clinical Trial

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
October 2023
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開始ページ
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背景

常時一回換気量のみの換気を受ける患者では、サーファクタントの不活化と喪失が引き起こされ、人工呼吸器誘発肺損傷(VILI)の原因となる。深呼吸(sigh)機能は、自発呼吸で無意識に生じる深呼吸を模したリクルートメントマニューバーで、肺胞の虚脱を予防することが示されている。
アメリカUniversity of ColoradoのAlbertら(SiVent)は、同国外傷センター15施設で24時間以上の人工呼吸管理を要すると予想される等の成人外傷患者を、6分おきにプラトー圧35 cmH2Oでの深呼吸を行う人工呼吸管理または通常の人工呼吸管理へと割り付け、28日目までの人工呼吸器不要日数、およびその他のアウトカムを比較する実践的RCTを実施した。

結論

5,753名がスクリーニングされ、524名が試験に登録された。
人工呼吸器不要日数の中央値は、深呼吸群で18.4日、通常ケア群で16.1日であり、有意差はなかった。28日死亡率は深呼吸群で11.6%、通常ケア群で17.6%であった。非致死的有害事象の発生率に群間差は認められなかった。

評価

人工呼吸器不要日数の増加は非有意であったものの、死亡率の低下を併せて考えると、深呼吸モードの有益性を示唆する結果と言え、追加検証が正当化される。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)