動脈硬化を防ぐには1日階段50段
Daily stair climbing, disease susceptibility, and risk of atherosclerotic cardiovascular disease: A prospective cohort study
背景
動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の予防のための日常身体活動には階段昇降がある。
中国Peking UniversityのSongらは、UK Biobank参加成人458,860名を対象とする前向研究を実施し、ベースライン時および5年後の再調査時における階段昇降・社会人口統計学的特性・ライフスタイル因子とASCVD(冠動脈疾患・虚血性脳卒中・急性合併症)との関連を評価した。
結論
12.5年(中央値)のフォローアップ期間中に、39,043件のASCVD、30,718件の冠動脈疾患、10,521件の虚血性脳卒中が記録された。
1日に1度も階段昇降をしない(ベースライン時)参照グループと比較して、1日1~5回のグループではASCVDリスクが3%低下、6~10回から21回以上までのグループでは16~23%低下した。冠動脈疾患・虚血性脳卒中についても同様の結果が得られた。遺伝的リスク・家族歴などを用いた疾患感受性の層別化では、感受性が高い(易罹患性の)参加者ほど、階段昇降による予防効果は弱まった。
5年後の再調査時に階段昇降を止めていた(5回[約50段]未満)参加者では、ASCVDリスクが32%増加した。
評価
心血管健康のための階段昇降の重要性には日本からも指摘があるが(https://www.nature.com/articles/s41440-021-00701-6)、この研究は最大の前向定量研究でASCVDリスクへの影響を具体的な数値として示した。ジムに通ったり、1万歩歩いたりといったタフな運動が難しい人にとって、有意義なメッセージとなる。