頻脈の持続する敗血症性ショックに超短時間型β遮断薬は無益か:STRESS-L
Landiolol and Organ Failure in Patients With Septic Shock: The STRESS-L Randomized Clinical Trial
背景
近年、敗血症におけるβ遮断薬の価値が再考されている。ランダム化比較試験のメタアナリシスでは、持続性頻脈を伴う敗血症患者における超短時間作用型β遮断薬の使用は死亡率の有意な低下と関連した(https://doi.org/10.1016/j.chest.2021.01.009)。
イギリスUniversity Hospitals of Birmingham のWhitehouseら(STRESS-L)は、同国40のICUで、24時間以上のノルアドレナリン持続投与が必要な頻脈を伴う敗血症性ショック患者を、ランジオロール投与または標準治療へと割り付け、14日目までの平均SOFAスコアを比較するRCTを実施した。
結論
ベネフィット実証の見込みがなく、害の可能性もあったため、試験は早期に中止された。予定された340名に対し、実際に登録されたのは126名(37%)であった。
平均SOFAスコアはランジオロール群で8.8、標準治療群では8.1であった。28日死亡率はランジオロール群37.1%、標準治療群25.4%で、90日死亡率はそれぞれ43.5%、28.6%であった。
評価
これまで示唆されていたベネフィットとは対照的に、ランジオロールにより臓器不全は減少せず、死亡率は上昇する傾向がみられた。敗血症ガイドライン2020では「弱い推奨」となっていたが、別のエビデンスが現れるまでは推奨され得ない。