アミカシン吸入で人工呼吸器関連肺炎が予防できる:AMIKINHAL
Inhaled Amikacin to Prevent Ventilator-Associated Pneumonia

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
October 2023
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開始ページ
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背景

抗菌薬の吸入療法は、人工呼吸器関連肺炎(VAP)に対する治療戦略として期待されているが、予防的な吸入療法によってVAP発症を抑制することはできるか。
フランスUniversity of ToursのEhrmannら(AMIKINHAL)は、72時間以上の侵襲的人工呼吸管理を受けている重症成人患者を、理想体重1 kgあたり20 mgのアミカシンまたはプラセボの吸入(3日間)へと割り付け、28日以内のVAP発症を比較する、医師主導多施設RCTを実施した(n=850)。

結論

アミカシン群の81%、プラセボ群の82%が3日間の吸入を完了した。
28日VAP発症率は、アミカシン群15%、プラセボ群22%であり、VAP発症までの平均生存期間の群間差は1.5日であった。感染に関連する人工呼吸器合併症はアミカシン群の18%、プラセボ群の26%で発生した(HR 0.66)。試験に関連した重篤有害事象はアミカシン群の1.7%、プラセボ群の0.9%で発生した。

評価

3日間のアミカシン吸入により、VAP発症が有意に抑制された。人工呼吸開始から3日目以降に短期間の吸入療法を行うことは、抗菌薬曝露と耐性化のリスクを最小化する合理的な戦略であるが、患者中心アウトカムは十分評価されていない。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)