COVID-19誘発性ARDSでは高力価の回復期血漿が有効か
Convalescent Plasma for Covid-19-Induced ARDS in Mechanically Ventilated Patients

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
October 2023
389
開始ページ
1590

背景

感染症から回復したドナーの血漿を用いた抗体治療(回復者血漿療法)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック初期に試みられた数多くの治療の一つであるが、RCTレベルではほとんど有効性を示していない。
ベルギーUniversity Hospital of LiegeのMissetらは、COVID-19による急性呼吸窮迫症候群(ARDS)で、侵襲的人工呼吸管理から5日以内の成人患者を、中和抗体価1:320以上の回復期血漿の投与または標準治療へと割り付けるRCTを実施した。

結論

2020年9月から2022年3月に475名がランダム化されたが、回復期血漿の不足により、回復期血漿群の17.7%は抗体価1:160の投与を受けた。98.1%の患者はステロイドの投与を受けていた。
28日死亡率は回復期血漿群で35.4%、標準治療群では45.0%であった。事前指定解析では、この効果は主として、人工呼吸開始から48時間以内にランダム化が行われた患者において認められた。

評価

重症化早期のCOVID-19関連ARDS患者に高力価の回復期血漿を投与することで、有意な死亡率低下がもたらされた。
流行株の置き換わりや広範なワクチン接種の結果、COVID-19の重症化は稀になっているため、この結果の実践上のインパクトはすでに小さいが、回復期血漿療法のコンセプトを実証し得たことは大きな意義がある。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)