心臓死ドナー(DCD)からの心臓移植、アウトカムは脳死ドナーからの移植と変わらず
Outcomes of Heart Transplant Donation After Circulatory Death
背景
欧米では、ドナープールを拡大し、移植待期時間を減らすため、心停止ドナー(donation after circulatory death;DCD)からの心臓移植の導入が進んでいるが、臨床アウトカムは。
アメリカVanderbilt UniversityのSiddiqiらは、2020〜2023年に同施設で心臓のみの移植を受けた成人患者を対象に、体温下局所灌流(Normothermic Regional Perfusion, NRP)によるDCDと、脳死後提供(Donation after Brain Death;DBD)心臓移植の6ヵ月・1年アウトカムを比較する後向観察研究を実施した(n=385)。
結論
32%がDCDドナーから提供を受け、うち83%でNRPが用いられた。DCDドナーは、DBDドナーよりも若く、併存疾患が少なかった。また、DCDレシピエントは、DBDレシピエントと比して、移植前の入院が少なく、移植までの機械的循環補助を要する患者も少なかった。
1年生存率、重篤な早期グラフト機能不全の発生率、1年以内の拒絶反応、移植心冠動脈病変の確率に群間差はなかった。
評価
DCDドナーからの心臓移植に関しては、今年、Organ Care Systemを用いたSchroderらのRCT結果が公表されている(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2212438)。このVanderbilt 1施設研究も、DCD心臓移植の安全性を確認し、DCD採用を支持するエビデンスを提供した。