外傷性の大出血でクリオプレシピテート製剤はアウトカム改善せず:CRYOSTAT-2
Early and Empirical High-Dose Cryoprecipitate for Hemorrhage After Traumatic Injury: The CRYOSTAT-2 Randomized Clinical Trial
背景
クリオプレシピテートは、新鮮凍結血漿を時間をかけて低温融解し、沈殿物を再凍結して作製される血液製剤で、フィブリノゲンなどを高濃度に含み、かつては血友病Aの治療に用いられていたが、現在では、大量出血時の凝固障害における低フィブリノゲン血症への効果が期待されている。
イギリスQueen Mary University of LondonのDavenportら(CRYOSTAT-2)は、2017〜2021年に、イギリス・アメリカの重大外傷センター26施設で、持続する出血により、出血プロトコルのアクティベートを必要とした外傷性出血患者(n=1,604)を、施設の大出血プロトコルによる標準治療または標準治療+クリオプレシピテート(フィブリノゲン換算6 g)へと割り付け、28日全原因死亡率を比較する国際RCTを実施した。
結論
ITT集団における28日全原因死亡率は、標準治療群で26.1%、クリオプレシピテート群では25.3%と有意差はなかった(オッズ比 0.96)。また、安全性アウトカム・血栓イベントに差はなかった(12.9% vs. 12.7%)。
評価
外傷性出血でのクリオプレシピテートの効果を検証する初のRCTであったが、期待に反して、効果は認められなかった。投与のタイミングや出血のタイプによる解析が行われており、特に投与のタイミングについては、さらなる検討に値する。