TAZ/PIPCは急性腎障害と関連せず:ACORN
Cefepime vs Piperacillin-Tazobactam in Adults Hospitalized With Acute Infection: The ACORN Randomized Clinical Trial
背景
セフェピム(CFPM)とタゾバクタム/ピペラシリン(TAZ/PIPC)は、ともに感染症に対する経験的抗菌薬治療として広く用いられている。しかし、CFPMは神経障害のリスクが高いことが知られ、TAZ/PIPCはバンコマイシンと併用することで急性腎障害(AKI)リスクが高まることが指摘されている。
アメリカVanderbilt UniversityのQianら(ACORN)は、同施設の救急外来・内科系集中治療室において、来院から12時間以内に抗緑膿菌抗菌薬の投与がオーダーされた成人患者を、CFPMまたはTAZ/PIPCの投与へと割り付け、14日目までのAKIステージ、その他のアウトカムを比較するRCTを実施した(n=2,511)。
結論
77.2%が登録時にバンコマイシン投与を受けていた。
AKIの最高ステージは、CFPM群の7.0%がステージ3、7.6%が死亡し、TAZ/PIPC群の7.5%がステージ3、6.0%が死亡した(オッズ比 0.95, 有意差なし)。重大な有害腎イベント率はCFPM群で10.2%、TAZ/PIPC群で8.8%であった。
また、CFPM群の患者では、14日間までにせん妄・昏睡のない日数が少なかった(平均11.9日 vs. 12.2日, オッズ比 0.79)。
評価
過去の観察研究から、バンコマイシンとTAZ/PIPCの併用はAKIリスクと考えられていたが、CFPMとの比較を行ったこの試験は、TAZ/PIPCが安全に使用可能であることを実証した。