免疫チェックポイント阻害薬治療は半永久でなくても良い?
Association Between Duration of Immunotherapy and Overall Survival in Advanced Non-Small Cell Lung Cancer
背景
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の有効性が持続している場合、いつまで投与を継続すべきかは基本的な問題である。ペムブロリズマブでの臨床試験では、2年間の投与終了後も効果の持続がみられている一方、1年まででのニボルマブ治療終了により、アウトカムが悪化することを示したCheckMate 153試験があり(https://doi.org/10.1200/JCO.20.00131)、解決に至っていない。
アメリカUniversity of PennsylvaniaのSunらは、2016年から2020年に進行非小細胞肺がんと診断され、初回治療として免疫療法ベースの治療を受けた患者を臨床的データベースFlatiron Healthから特定し、700~760日での治療中止と760日を超えた治療継続が全生存期間に与える影響を後向調査した。
結論
大半の患者は死亡(64%)、または病勢進行/二次治療開始(20%)により、ICI治療を2年以内に終了した。2年時点でICI治療が継続されていた患者(n=1,091)のうち、113名が治療終了グループ、593名が治療継続グループに含まれた。
760日目からさらに2年後の全生存率は、治療終了グループで79%、治療継続グループで81%であり、単変量回帰(HR 1.26)、多変量回帰(1.33)のいずれでも統計的に有意な差は認められなかった。
評価
高額な薬価もあって、「ICIをいつ終了するか」は重要な問題であり続けている。この後向コホート研究は、2年で治療を終了しても、その後の生存率に有意な差がないことを示した。ランダム化比較試験によって確認されることが望ましいが、現時点でも、2年での治療終了とモニタリングへの切り替えは合理的戦略とみなせる。