肥満患者の心血管イベントリスクを決めるのはCFR
Coronary Microvascular Dysfunction and Cardiovascular Risk in Obese Patients
背景
肥満者の心血管リスクにCFR低下で定義される冠微小循環障害(CMD)が関連することが示唆されている。Harvard Medical SchoolのBajajらは、負荷PETで潅流障害のないCAD疑い患者連続827名を中央値5.6年間追跡する観察研究を行なった。
結論
BMIとCFRの間には独立したJ型関係があり、肥満患者のCFRはBMI増に伴いリニアに低下した。しかし、諸因子調整後、冠イベントに独立に強く関連したのはBMIでなくCFRであり(aHR:1.95)、それはモデルの識別能を改善した。さらに、CFR障害のある肥満患者は、肥満手術不適応水準であってさえイベント発生率が高かった。
評価
肥満者の心血管リスクが肥満自体に直接起因するのではなくCMDに起因し、それを反映するCFRは普遍的な心血管リスク指標となりえる、という重要な仮説を生成する研究である。JACC Editorialは、BMI指標はCMDにつながる代謝障害を十分に反映しえないことを強調している。