化学免疫療法により肺がん脳転移の放射線治療開始を遅らせる
Phase II Trial of Atezolizumab Combined With Carboplatin and Pemetrexed for Patients With Advanced Nonsquamous Non-Small-Cell Lung Cancer With Untreated Brain Metastases (Atezo-Brain, GECP17/05)
背景
進行期の非小細胞肺がん(NSCLC)では脳転移が一般的であり、ドライバー変異のない脳転移に対する薬物療法オプションとして、免疫チェックポイント阻害薬が候補となっている。
スペインInstitut Català d'OncologiaのNadalらは、進行NSCLCで、かつ治療歴のない脳転移を有し、神経学的に無症状または内科的にコントロール可能な症状のある患者を対象とした第2相単群臨床試験を行い、4〜6サイクルのアテゾリズマブ+カルボプラチン+ペメトレキセドを投与した後、進行が認められるまで最大2年間アテゾリズマブ+カルボプラチンを投与した。一次アウトカムは、12週時点での無増悪生存率(PFS)等である。
結論
40名が登録され、うち22名はステロイドによってコントロールされていた。
12週PFSは62.2%であった。最初の9週間におけるグレード3/4有害事象の発生率は27.5%であった。神経学的事象は大半がグレード1〜2であったが、12.5%(5名)はグレード3/4の事象を経験した。頭蓋内PFSは中央値6.9ヵ月、頭蓋内奏効率は42.7%であり、全身PFSは中央値8.9ヵ月、全身奏効率45%であった。大半の患者は、病勢進行後に救援放射線治療を受けた。
全生存期間の中央値は11.8ヵ月で、2年生存率は27.5%であった。
評価
アテゾリズマブとプラチナ化学療法による化学免疫療法は、未治療のNSCLC脳転移において高い安全性を示し、4割の患者に奏効をもたらした。薬物療法と全脳照射をどのように組み合わせるかが、今後の重要問題となる。