NIHSSスコアで脳卒中の病院前評価を改善できるか:ParaNASPP
Prehospital screening of acute stroke with the National Institutes of Health Stroke Scale (ParaNASPP): a stepped-wedge, cluster-randomised controlled trial
背景
脳卒中の予後は、タイムリーな介入の有無に左右される。介入の機会を最大化する上では、脳卒中の早期認識が非常に重要となるが、National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)の使用はトリアージを強化し、急性脳卒中の診断精度を向上させることができるだろうか?
ノルウェーNorwegian Air Ambulance FoundationのGuterudら(ParaNASPP)は、オスロ市の5ヵ所の救急ステーションによるステップウェッジ方式クラスターRCTを行い、標準的な脳卒中プロトコルへのNIHSSスコアの導入が、病院前での脳卒中特定(陽性適中率)が改善されるか検証した。
結論
2019年6月〜2021年7月に、935名の患者が急性脳卒中疑いにより、救急隊員の評価を受けた。到着後に急性脳卒中と診断された患者の病院前陽性適中率は、介入群で48.1%、対照群45.8%であり、有意な差は認められなかった。
一方で、現場での時間経過(中央値)は介入群で5分増加した(29分 vs. 24分)。Door-to-needle timeに変化はなかった。
評価
NIHSSの導入は、搬送前の脳卒中認識率を改善しなかった。試験途中にコロナ・パンデミックが発生しており、現場時間の増加はこのことが影響している可能性がある。
本試験のモデルは今年からノルウェー全土で採用される予定で、その実践的意義についてより多くのデータが提供されるだろう。