マルチオミクス解析でインスリン抵抗性への腸マイクロバイオームの関与を確定
Gut microbial carbohydrate metabolism contributes to insulin resistance
背景
腸マイクロバイオームがインスリン抵抗性に関与する可能性が示唆されているが、その機序は。
日本RIKEN Center for Integrative Medical Sciences(理化学研究所生命医科学研究センタ ー)のKubotaらは、肥満患者・前糖尿病状態の患者と健康成人306名の血液・糞便サンプルを用いた統合オミクス解析(糞便マイクロバイオーム解析・糞便メタゲノム解析・糞便メタボローム解析・血液メタボローム解析・血液サイトカイン解析・末梢血単核細胞CAGE解析)を行い、さらにマウスモデルで検証を行った。
結論
統合オミクス解析の結果、単糖類(果糖・ガラクトース等)がインスリン抵抗性と関連し、特に腸内細菌Alistipes属はインスリン抵抗性と負の相関関係が見出された。また、インスリン抵抗性モデルマウスへのAlistipes indistinctus投与により、インスリン抵抗性の改善と腸管内単糖類の減少が認められた。
評価
示唆されていた関連を、統合オミクスによる網羅解析で確定するとともに、起因細菌の特定にまで迫った重要な結果である。Alistipes属は炎症だけでなく、癌との関連も推測されており(https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fimmu.2020.00906/full)、治療法開発に直結している。

