セマグルチドはHFpEF治療をSTEPアップする
Semaglutide in Patients with Heart Failure with Preserved Ejection Fraction and Obesity
背景
駆出率保持心不全(HFpEF)の肥満者に対するセマグルチドの効果・安全性は。
アメリカSaint Luke’s Mid America Heart InstituteのKosiborodら(STEP-HFpEF)は、BMI 30以上(2型糖尿病非診断)のHFpEF患者529名を対象として、これを検証する第3相RCTを行った(対照:プラセボ, 投与期間52週)。一次エンドポイントは、ベースラインからのカンザスシティ心筋症質問票臨床サマリースコア(KCCQ-CSSスコア)の変化量および体重変化である。
結論
セマグルチドの一次エンドポイントに対する効果を認めた(KCCQ-CSSで16.6点 vs. 8.7点; 体重変化で−13.3% vs. −2.6%)。6分間歩行距離の平均変化量でもセマグルチドが優った。重篤有害事象は、セマグルチド群で13.3%、プラセボ群で26.7%に発現した。
評価
「ダイエット薬」としてブロックバスターとなった同薬だが、SGLT2i(ダパグリフロジン・エンパグリフロジン)に続き、HFpEFに対する効果も実証した。効果幅は後者より大きく、MACEに対する効果が示されれば、決め手のないHFpEF治療でブレークスルーとなる可能性もある。NEJM Editorialは、同薬のこのような効果が、HFpEFという謎の病態の本質に関わるかもしれない、という注目すべき推測を行っている。