到着時の血圧が高い脳梗塞は転帰不良、ただし血管内治療は血圧にかかわらず有益
Admission systolic blood pressure and effect of endovascular treatment in patients with ischaemic stroke: an individual patient data meta-analysis
背景
アメリカ心臓協会のガイドラインは、血管内治療前の虚血性脳卒中患者の管理において血圧を185/110 mm Hg以下に維持することを推奨しているが(https://doi.org/10.1161/STR.0000000000000211)、病院到着時の血圧が血管内治療のアウトカムに影響するかは不明である。
オランダErasmus MC University のSamuelsらは、前方循環系虚血性脳卒中患者を、血管内血栓回収療法または標準的な内科的治療へと割り付けたランダム化比較試験(MR CLEAN、ESCAPE、EXTEND-IA、SWIFT PRIME、REVASCAT、PISTE、THRACE)から患者個別データを入手し、入院時の収縮期血圧が90日後の機能的アウトカムに与える影響を評価するメタアナリシスを実施した。
結論
収縮期血圧のデータがない11名が除外され、1,753名の患者が含まれた。収縮期血圧と機能的アウトカムの関連は140 mm Hgを境に異なっており、140 mm Hg以上の患者(58%)では、収縮期血圧の10 mm Hgの上昇ごとに機能的アウトカムの悪化と関連しており(調整共通オッズ比 0.86)、140 mm Hg未満の患者(42%)では、関連はみられなかった(10 mm Hg減少ごとに0.97)。
機能的アウトカムに対して、収縮期血圧と血管内血栓回収療法の効果に有意な交互作用は認められなかった。
評価
収縮期血圧が140 mm Hgを上回る患者ではアウトカムの悪化が認められた。ただし、これらの患者でも血管内治療の効果は働いており、到着時の血圧を根拠として、治療差し控えなどの判断はすべきでないと示唆される。