BRAF V600E変異のある小児神経膠腫でダブラフェニブ+トラメチニブが有望
Dabrafenib plus Trametinib in Pediatric Glioma with BRAF V600 Mutations
背景
小児の低悪性度神経膠腫(グリオーマ)では2割ほどにBRAF V600E遺伝子の変異がみられる。これらの患者では化学療法の効果が弱く、予後は不良であるが、BRAF V600E変異は確立された分子標的でもある。
アメリカUniversity of TorontoのBouffetらは、BRAF V600E変異を有する低悪性度神経膠腫の小児(n=110)に対する初回薬物治療として、ダブラフェニブ+トラメチニブまたは標準化学療法へと2:1で割り付け、有効性と安全性を評価した第2相RCTの結果を報告した。
結論
フォローアップ期間18.9ヵ月(中央値)の時点で、ダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法を受けた患者の47%、化学療法患者の11%に部分奏効以上の奏効が認められた(リスク比 4.31)。また、併用群の86%、化学療法群の46%で臨床的有用性(部分奏効以上の奏効または24週間以上の病勢安定)を認めた(1.88)。無増悪生存期間の中央値は、それぞれ20.1ヵ月、7.4ヵ月であった(ハザード比 0.31)。
グレード3以上の有害事象は、併用群の47%、化学療法群の94%で発生した。
評価
ファーストラインでのダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法は、有効性についても、安全性についても化学療法を上回り、この結果によりFDAの承認を受けた。同試験では、再発・難治の高悪性度神経膠腫小児を対象とした単群試験も行われており、こちらでも既存の化学療法成績を上回っている(https://doi.org/10.1200/JCO.23.00558)。