血小板減少を呈するCVC挿入での血小板輸血トリガーは?:PACER
Platelet Transfusion before CVC Placement in Patients with Thrombocytopenia
背景
中心静脈カテーテル(CVC)留置における出血性合併症は稀だが、重大なリスクを招きうる。血小板減少患者へのCVC挿入では、血小板輸血が必要となる場合があるが、具体的なトリガー値については高品質なエビデンスが欠けていた。
オランダUniversity of Amsterdamのvan Baarleらは、血液学病棟・集中治療室で治療を受ける重度血小板減少(1万〜5万/ mm3)患者を、超音波ガイド下CVC挿入前に予防的な血小板輸血を1単位行うグループ、または行わないグループへと割り付け、カテーテル関連出血(グレード2〜4)について輸血差し控えの非劣性を検証する多施設共同RCTを実施した。
結論
338名の患者で、計373回のCVC挿入エピソードがあった。グレード2〜4のカテーテル関連出血は、血小板輸血群の4.8%、輸血無し群の11.9%で発生した(相対リスク 2.45)。相対リスクの90%信頼区間の上限は4.70で、指定された非劣性マージンを満たさなかった。グレード3〜4のカテーテル関連出血は、それぞれ2.1%、4.9%で発生した(相対リスク 2.43)。予防的血小板輸血の差し控えは、挿入1回あたり410ドルの節約をもたらした。
評価
超音波ガイド下挿入が一般化し、CVC関連出血が減少した現代において求められていた検証で、結果として、血小板輸血の差し控えは非劣性マージンを満たさなかった。1万〜5万/ mm3の患者では原則、輸血が考慮される。特に数値の低い患者では複数単位を輸血することも検討される必要がある。