慢性リンパ性白血病でもCAR-T細胞療法が有効か:TRANSCEND CLL 004
Lisocabtagene maraleucel in chronic lymphocytic leukaemia and small lymphocytic lymphoma (TRANSCEND CLL 004): a multicentre, open-label, single-arm, phase 1-2 study
背景
BTK阻害薬やBCL-2阻害薬に抵抗性となった慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)に残された治療オプションは少なく、予後は不良である。キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法は、複数の血液がんの治療に大きな進歩をもたらしたが、CLLはこれまで取り残されてきた。
アメリカCity of Hope National Medical CenterのSiddiqiら(TRANSCEND CLL 004)は、BTK阻害薬を含め、2ライン以上の治療歴を有する再発・難治CLL/SLL成人患者を対象に、CAR-T細胞lisocabtagene maraleucel(liso-cel)を静注し、有効性と安全性を評価した第1/2相試験の結果を報告した。
結論
137名がアフェレーシスを受け、117名がliso-cel投与を受けた(年齢65歳[中央値]、男性68%、白人85%、前治療歴5ライン[中央値])。
投与量レベル2(100×106, n=49)での完全奏効・寛解率は18%であった。グレード3のサイトカイン放出症候群が9%に報告され、グレード3の神経学的事象が18%、グレード4の神経学的事象が1%に報告された。死亡51例のうち、43例はliso-cel後に発生し、5例が治療下発現有害事象による死亡であった。
評価
Liso-celは、BTK阻害薬・ベネトクラクスを含む複数ラインの治療を経験した再発・難治CLL患者において、完全奏効・寛解をもたらすポテンシャルがあることを実証した。標準的オプションを使い果たしたこの患者集団にとって、新たな希望となる。