胞巣状軟部肉腫(ASPS)へのアテゾリズマブ、1/3に奏効
Atezolizumab for Advanced Alveolar Soft Part Sarcoma
背景
胞巣状軟部肉腫(alveolar soft part sarcoma: ASPS)は、1,000万人あたり年間1件程度の極めて稀な悪性軟部腫瘍であり、確立された治療法はないものの、近年、免疫チェックポイント阻害薬が有望視されている。
アメリカNational Cancer InstituteのChenらは、成人・小児の進行ASPS患者を対象に、アテゾリズマブ(21日毎、1回あたり最大1200 mg)を静注し、有効性・薬力学を検証する第2相多施設共同試験を実施した(n=52)。
結論
19名(37%)に客観的奏功が認められた(完全奏効1名、部分奏効18名)。奏効までの期間は3.6ヵ月、奏効持続期間は24.7ヵ月、無増悪生存期間は20.8ヵ月であった(いずれも中央値)。治療開始2年に達した患者のうち7名が休薬に入ったが、データカットオフ日まで奏効が持続していた。グレード4以上の治療関連有害事象は報告されなかった。
評価
アテゾリズマブは進行ASPS患者の1/3に奏効をもたらし、この結果に基づき食品医薬品局(FDA)の承認を得た。奏効は持続的で、治療期間が2年に達した患者では休薬も選択肢となり得る。本試験で進行がみられた患者では、VEGF阻害薬の追加が検証されており、さらにベバシズマブとアテゾリズマブの併用を評価する第2相試験も進行中である(NCT03141684)。