脳出血患者を遠方の血栓回収センターに搬送すると:RACECAT2次解析
Effect of Bypassing the Closest Stroke Center in Patients with Intracerebral Hemorrhage: A Secondary Analysis of the RACECAT Randomized Clinical Trial
背景
RACECATは、脳主幹動脈閉塞(LVO)疑い患者を一次脳卒中センターでなく、遠方の血栓回収センターに搬送する必要はない、と示唆した重要なRCTであった。
スペインHospital Universitari Josep TruetaのRamos-Pachónらは、同試験の事前指定二次解析を行い、最終診断が脳内出血であった302例での帰結の差異を解析した。一次アウトカムは発症後90日での修正Rankin scale(mRS)である。
結論
165例が最寄りの一次脳卒中センターへ、137例が血栓回収センターへ搬送されていた。血栓回収センター搬送の最寄りの一次脳卒中センター搬送に対する一次アウトカム劣性を認めた(平均4.93 vs. 4.66, aOR 0.63)。90日後死亡率も血栓回収センター搬送群が高く、最初の搬送中での嘔吐・けいれん等合併症も、入院中の肺炎罹患率も同様に血栓回収センター搬送群で高かった。
評価
血栓回収非適応患者を回収センターに誤転送することのリスクは明らかだが、ここでの実データとしての提示にはインパクトがある。日本では3次医療圏毎のLVO疑い患者の搬送先に関する議論が進行中であり、重要なレファレンスとなる。