糖尿病性腎臓病のリスクを4つのバイオマーカーで予測する
Cardiorenal Biomarkers, Canagliflozin, and Outcomes in Diabetic Kidney Disease: The CREDENCE Trial
背景
2型糖尿病とアルブミン尿の存在は、心血管・腎臓疾患のリスクを高めるが、リスク予測のためのバイオマーカーの最適な組み合わせは不明である。
アメリカMassachusetts General HospitalのJanuzziらは、2型糖尿病とアルブミン性慢性腎臓病の患者を、経口SGLT2阻害薬カナグリフロジンまたはプラセボによる治療へと割り付けたRCT、CREDENCE試験において、NT-proBNP・hscTnT・成長分化因子-15(GDF15)・インスリン様成長因子結合たんぱく質-7(IGFBP7)を測定し、一次アウトカム[末期腎不全(透析、移植、またはeGFR<15 mL/分/1.73 m2 の持続、血清クレアチニン倍化、腎臓または心血管系が原因による死亡の複合]に対する予後予測能を評価した。
結論
参加者2,627名において、各バイオマーカー(中央値)はベースライン時点で高値であり、1年後にはプラセボ群で6〜29%、カナグリフロジン群では3〜10%上昇した。各マーカーのベースライン濃度は心臓・腎臓アウトカムを強く予測した。多マーカーパネルとして解析すると、高リスクスコアの患者は、低リスクの患者と比して一次アウトカムリスク(ハザード比)が4.01、中リスク患者でも2.39であった。1年後に各マーカーの値が50%以上増加した場合、NT-proBNPでは1.11倍、hscTnTでは1.86倍、GDF15では1.45倍、IGFBP7では3.76倍のリスク増加と関連した。
評価
4つのバイオマーカーのベースライン値と経時変化は、糖尿病性腎臓病患者のリスクと関連しており、特に現在は市販されていないIGFBP7は強い関連を持っていた。SGLT2阻害薬が、高リスク患者のイベントリスクを軽減することも示されており、治療の個別化にも示唆を与える結果となった。