血管内治療後の脳梗塞患者で低い目標血圧は有害:OPTIMAL-BP
Intensive vs Conventional Blood Pressure Lowering After Endovascular Thrombectomy in Acute Ischemic Stroke: The OPTIMAL-BP Randomized Clinical Trial
背景
急性脳梗塞後の患者では血圧上昇が一般的であり、高血圧が持続する場合には降圧治療が選択肢となる。しかし、降圧による脳虚血の誘発は有害であり、最近のENCHANTED2試験では低い血圧目標(収縮期血圧120 mm Hg未満)への積極的降圧が、機能的回復を妨げる可能性を示唆している(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(22)01882-7)。
韓国Yonsei University College of MedicineのNamら(OPTIMAL-BP)は、同国19ヵ所の脳卒中センターで血管内治療を受けた主幹動脈閉塞による急性虚血性脳卒中患者を、収縮期血圧140 mm Hgをターゲットとする集中的降圧管理または140-180 mm Hgでの従来管理へと割り付け、3ヵ月後の機能的自立(mRSスコア 0-2)を比較するRCTを実施した。
結論
安全性懸念により、306名がランダム化された時点で、試験は早期に中止された(当初のサンプルサイズ668名)。
機能的自立を達成した患者の割合は、集中的管理群で39.4%、従来管理群で54.4%であった(調整オッズ比 0.56)。症候性頭蓋内出血は集中的管理群9.0%、従来管理群8.1%(調整オッズ比 1.0)、3ヵ月以内の脳卒中関連死亡はそれぞれ7.7%、5.4%であった(調整オッズ比 1.73)。
評価
同時にJAMA誌に掲載されたBEST-II試験も、低い目標血圧によるベネフィットが見込めないことを示唆したが(https://doi.org/10.1001/jama.2023.14330)、本試験は、積極的降圧が機能的アウトカムの悪化を引き起こすことを明らかにした。低すぎる血圧目標は避けるべきである。