AMIでの心原性ショックに早期ECMOは有害無益:ECLS-SHOCK
Extracorporeal Life Support in Infarct-Related Cardiogenic Shock
背景
急性心筋梗塞患者(AMI)の1割は心原性ショックを発症し、血行再建術を受けることができても半数近くは死亡に至るとされる。VA ECMO(静動脈-膜型人工肺)による体外式生命補助(ECLS)が用いられるケースもあるが、エビデンスの支持は乏しい。
ドイツHeart Center Leipzig at University of LeipzigのThieleら(ECLS-SHOCK)は、心原性ショックを合併したAMIで早期血行再建が予定されている患者を、早期ECLS+通常治療または通常治療のみへと割り付け、30日全原因死亡率を比較する多施設RCTを実施した(n=420)。
結論
30日全原因死亡率は、ECLS群で47.8%、対照群では49.0%であった(相対リスク 0.98)。人工呼吸期間(中央値)は、ECLS群で7日、対照群で5日であった。中等度・重度の出血はECLS群の23.4%、対照群の9.6%で(相対リスク 2.44)、介入を要する末梢血管合併症はそれぞれ11.0%、3.8%で発生した(2.86)。
評価
先行したECMO-CS(https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.122.062949)、EURO SHOCK(https://doi.org/10.4244/EIJ-D-23-00204)とも一致する結果であり、この集団でのルーチン使用は推奨されない。