塩基編集による肥大型心筋症治療の概念を実証
Base editing correction of hypertrophic cardiomyopathy in human cardiomyocytes and humanized mice
背景
遺伝性心疾患の1つである肥大型心筋症(HCM)の重要な一型は、ミオシン重鎖コードMYH7遺伝子のc.1208G>A(p.R403Q)ミスセンス変異である。
アメリカUniversity of TexasのChaiらは、患者由来iPSCおよびヒト化マウスモデルレベルで、同遺伝子のアデニン塩基編集の実行可能性と効果を検討した。
結論
ABEmax-VRQRシステムによるHCM患者由来iPSCのMYH7変異の修正に成功した。オフターゲット・バイスタンダー編集はほとんどなく、最大効率は99%であった。さらに、HCMヒト化マウスモデルにおいても、AAVによる送達で効率30%以上の編集、および仔マウスのHCM発症予防に成功した。
評価
今年2月のHarvardの第一報(https://www.nature.com/articles/s41591-022-02190-7)に続く概念実証試験の成功報告である。次段階として大型動物でのさらなる検証が行われるものとみられるが、臨床試験は遠くない。