より高い効能・選択性を持つKRAS G12C阻害薬divarasib(GDC-6036)が登場
Single-Agent Divarasib (GDC-6036) in Solid Tumors with a KRAS G12C Mutation
背景
発見から40年が経過したKRAS遺伝子は、長らく創薬困難と考えられてきたが、近年、薬剤の結合可能なポケットの発見をきっかけに、KRAS G12C特異的阻害薬が複数登場している。
カナダUniversity of TorontoのSacherらは、KRAS G12C変異を有する進行・転移固形がんを対象に、共有結合性KRAS G12C阻害薬divarasib(GDC-6036)を1日1回経口投与し、安全性・抗腫瘍活性を評価する第1相試験を実施した(n=137)。
結論
非小細胞肺がん(NSCLC)患者60名、大腸がん患者55名、その他固形がん患者22名が投与を受けた。用量制限毒性や治療関連死は報告されなかった。治療関連有害事象は93%で発生し、11%がグレード3、1%がグレード4の事象を発現した。治療関連有害事象により、14%が減量、3%が治療中止に至った。NSCLC患者の奏効率は53.4%、無増悪生存期間(PFS)は中央値13.1ヵ月であった。大腸がん患者の奏効率は29.1%、PFSは5.6ヵ月であった。
評価
Divarasibは、KRAS G12C変異肺がんの半数、大腸がんの3割に奏効をもたらした。過去のソトラシブ、adagrasibの成績を数字の上では上回っており、また減薬・治療中止が少ない点でも期待の高い新薬である。大腸がんではセツキシマブと組み合わせて、より高い奏効が認めることが示されているほか(GO42144研究)、肺がんでの第2/3相B-FAST試験も始まっている(NCT03178552)。