長期喫煙者は無症状でスパイロメトリー正常(TEPS)でも呼吸器高リスク
Longitudinal Follow-Up of Participants With Tobacco Exposure and Preserved Spirometry
背景
長期喫煙者は、呼吸器症状の有無に関わらず、スパイロメトリーに異常所見のないことがある(TEPS: tabacco exposure and preserved spirometry)。
アメリカ University of CaliforniaのMcKleroyらは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の有無に関わらず、40〜80歳で1年20パック以上の喫煙を行う喫煙者と気流閉塞のない非喫煙コントロール(n=1397)を対象として、3〜4年間、1年に1回スパイロメトリー、6分間歩行距離試験、呼吸器症状評価、胸部CT検査(SPIROMICS I)、またその5〜7年後に1回個別面接を行い(SPIROMICS II)、無症候性のTEPS患者と症候性のTEPS患者の経過を比較検討するコホート研究を行った。一次アウトカムは、症候性TEPSと無症候性TEPSの肺機能(FEV1)評価である。
結論
症候性TEPSと無症候性TEPSの肺機能低下(FEV1:−31.3 mL/y vs. −38.8 mL/y, 群間差−7.5 mL/y)、COPD累積発生(33.0% vs. 31.6%, HR 1.05)は同様だった。しかし2〜10年の追跡調査中、症候性TEPS患者は無症候性TEPS患者と比べて呼吸器症状の悪化が多かった(0.23 vs. 0.08, RR 2.38)。
評価
TEPS概念生成を主導してきたグループによる先行SPIROMICS 研究(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1505971)と軌一する結果である。本研究による確認により、TEPS患者は無症状でも治療対象となる可能性が高い。