TIAに適切な画像検査を行わないと脳卒中リスクが増大する
Association of Incomplete Neurovascular Imaging After Emergency Department Encounters for Transient Ischemic Attack and Odds of Subsequent Stroke: A National Medicare Analysis
背景
一過性脳虚血発作(TIA)を発症した患者では、その後の脳卒中リスクが大きく上昇する。そのため、TIAガイドラインは脳血管画像診断により、リスク因子を確定することを求めている。
アメリカUniversity of ColoradoのTimponeらは、Medicare Standard Analytical Filesから得られた2016〜2017年のデータから、救急受診時にTIA診断を受け、受診から2日以内に脳CTまたは脳MRIを受けた患者を特定し、脳(造影CTまたは造影MRI)と頸部(造影CT、造影MRI、頸動脈超音波検査)両方の血管画像化と、その後の脳卒中発症との関連を後向に評価した(n=111,417)。
結論
患者の37.3%は、脳と頸部両方の血管画像検査を完了していなかった。TIA後90日以内の脳卒中診断は、画像検査を完了した患者では4.4%、完了しなかった患者では7.0%であった。患者・施設の背景を調整後にも、画像検査の未完了は90日以内の脳卒中増加と関連した(オッズ比 1.3)。
評価
初期に発症機序の特定が不完全であったTIA患者では、その後の脳卒中リスクが増大した。著者らによる先行研究では、初回受診時に検査を完了しなかった患者の7割はその後も検査を受けないことが明らかにされており(https://doi.org/10.1016/j.jacr.2022.05.018)、救急の役割は重要である。