アメリカの脳卒中Door-in-Door-out時間は中央値174分
Door-in-Door-out Times for Interhospital Transfer of Patients With Stroke
背景
急性脳卒中患者の治療では、DIDO時間(door-in door-out time:初療施設で到着から搬送開始までの時間)を短縮することが重要な品質改善目標である。
アメリカUniversity of MichiganのStammらは、AHA Get With The Guidelines-Strokeレジストリに参加する施設の救急外来から他の急性期病院へと転送された虚血性・出血性脳卒中患者(n=108,913)を対象に、DIDO時間およびそれと関連する因子を調査した。
結論
67,235例が虚血性、41,678例が出血性脳卒中であった。DIDO時間の中央値は174分で、ガイドライン推奨の通り、DIDO時間が120分以下であった患者は27.3%であった。DIDO時間中央値の延長と関連した因子は、80歳以上(18〜59歳と比して14.9分)、女性(5.2分)、黒人およびヒスパニック(非ヒスパニック白人と比してそれぞれ8.2分・5.4分)であった。反対に、DIDO時間の短縮と関連した因子は、救急隊からの搬送連絡(−20.1分)、NIHSSスコアが12以上(0〜1と比して−66.7分)、血管内治療の適応となる脳梗塞(出血性脳卒中と比して−16.8分)であった。
評価
アメリカの脳卒中患者のDIDO時間は、大半が、ガイドラインの推奨する120分を超過していた。人種や性別による不平等がみられたほか、事前の搬送連絡によってDIDO時間が大きく短縮することも明らかになった。研究チームはDIDOプロセスのプロトコル化を目指しており、これをターゲットとした品質改善介入をテストする臨床試験も予定されている。