TriClipデバイスによるTEER治療のリアルワールドの結果はbRIGHT
Short-Term Outcomes of Tricuspid Edge-to-Edge Repair in Clinical Practice
背景
重度三尖弁逆流(TR)への経カテーテルedge-to-edge修復術(TEER)のリアルワールドでの安全性・有効性は。
ドイツUniversity of LeipzigのLurzら(bRIGHT PAS)は、欧州26施設の治療レジストリー(bRIGHT)データに基づき、重度TR患者へのTriClipデバイス(Abbott社)によるTEER症例の前向観察研究を行った(n=511, 平均年齢79歳, 女性56%)。心エコー評価はコアラボで行った。参加者の80%はNYHAIII/IV、40%は心不全入院歴があった。
結論
デバイス植込みの成功率は99%と高かった。手術成功(退院時または30日後に最低1グレード低下と定義)率は91%であった。患者1名あたり平均1.9個のクリップが埋め込まれた。
ベースライン後30日でTRグレードの大幅な低下を認め、77%が中等度以下を達成したが、結果はベースライン時のTR グレードによって異なった。ベースライン時のTR グレードを変数として除いた場合、ベースライン時の右房の容積の小ささとtethering distanceの短さが、退院時でのTRの中等度以下への軽減の独立予測因子であった(OR 各0.679・0.722)。30日におけるMACE発生率は2.5%であった。
評価
Abbott社のTriClip デバイスに関し要求されている市販後研究bRIGHTの結果で、EuroPCR 2023で発表された(https://www.pcronline.com/Courses/EuroPCR)。同手法の汎用をサポートする結果で、今後は長期のMACE発生率への効果を示すデータが期待される。なお、JACCは、EVOQUE システム(Edwards Lifesciences)の compassionate useに関するLetterを併載しており、直接比較は難しいが、好結果である(https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2023.04.014)。