ペニシリンアレルギーのリスクが低い患者では経口負荷試験のみでよい
Efficacy of a Clinical Decision Rule to Enable Direct Oral Challenge in Patients With Low-Risk Penicillin Allergy: The PALACE Randomized Clinical Trial
背景
ペニシリンアレルギーはしばしば患者が報告するアレルギーであるが、この情報は多くの場合不正確で、実際にアレルギーを有する患者は極めて少ないとされる。確認には通常、皮膚テストと経口負荷試験が必要だが、利用できないケースも多い。
オーストラリアAustin HealthのCopaescuらは、北米およびオーストラリアの6施設でペニシリンアレルギーのリスクが低い(PEN-FASTスコアが3未満)患者を登録し、ペニシリンの経口負荷試験を行う介入群と皮膚テストと、それに引き続く経口負荷試験を行う対照群へと割り付け、免疫介在性反応の発生率を比較するランダム化非劣性試験を実施した(n=382)。
結論
1時間以内に発生した免疫介在性反応を伴うペニシリンアレルギー陽性は、介入群・対照群ともに1名のみであった。片側95%信頼区間は5パーセントポイントを下回っており、非劣性基準を満たした。経口負荷試験から5日間の免疫介在性有害事象は介入群で9件、対照群で10件記録された。重篤な有害事象は発生しなかった。
評価
ペニシリンアレルギーの可能性が低い患者では、皮膚テストをスキップしても十分安全にアレルギー評価が可能と考えられた。リソース使用を削減し、抗菌薬使用の適正化にもつながる重要な知見である。